更新日: 2023.05.08 生命保険
【生命保険】 リビング・ニーズ特約って何? メリット・留意点は?
この生前給付金は非課税ですが、未費消の残金は相続財産になります。詳しく見てみましょう。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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リビング・ニーズ特約とは
リビング・ニーズ特約とは、定期保険などの死亡保険に付加する特約で、原因にかかわらず被保険者が医師から余命6ヶ月以内と診断されたときに、死亡保険金の全部または一部(指定保険金額)を生前に1回限り受け取ることができる特約です。
この保険金を受け取った場合、同額の死亡保険金が減額されたものとされます。したがって、リビング・ニーズニーズ特約保険金を受け取った場合、それ以降の保険料については、残った保険金額分の保険料となり、保険料の負担が軽減されます。死亡保険金の全額をリビング・ニーズ特約保険金として受け取った場合は、保険契約は請求日にさかのぼって消滅します。
支払額は、保険金請求日から6ヶ月間の指定保険金額に対応する利息、および保険料に相当する金額を指定保険金額から控除した金額で、通常3000万円以内の金額です。
リビング・ニーズ特約保険金の受取人は、被保険者です。保険金の請求は本人のほか指定代理請求人もできます。この特約の保険料は無料です。
指定代理請求制度とは
被保険者が、がんなどになり医師から余命6ヶ月以内と診断されたにもかかわらず、医師から被保険者に告知されないなど、被保険者(受取人)が保険金を請求できない事態を避けるため、契約者があらかじめ指定した人に保険金を請求できるようにしたのが指定代理人請求制度です。指定代理人の範囲は生命保険会社によって異なります。
指定代理人の請求に基づき保険金を支払った後、保険料の支払いが減ったことに気付いた被保険者から保険会社に問い合わせがあった場合、被保険者が余命6ヶ月と気づかれることがありますので留意が必要です。
リビング・ニーズ特約のメリット
死亡保険は、被保険者が死亡した際に死亡保険金が受け取れるものですが、リビング・ニーズ特約により、生前給付金として死亡保険金の一部または全部を受け取ることが可能です。
したがって、亡くなるまでの間、経済的な心配をせず十分な治療を受けることができますし、悔いのない人生を過ごすためのお金として利用できるなど、死亡保険金の活用範囲が広がります。生前給付金の受け取り後に、診断された余命期間以上に被保険者が生存しても返還す必要はありません。
リビング・ニーズニーズ特約保険金は、死亡を支払い事由とするものではなく、重度の疾病に起因して支払われる保険金として非課税とされます。また、リビング・ニーズ特約の保険料は無料です。
リビング・ニーズ特約保険金の残額の取り扱い
リビング・ニーズ特約保険金を受け取っても非課税ですが、その後、被保険者(受取人)が死亡した場合、未使用のものがあるときはその未使用部分は本来の相続財産として課税対象となります。
ただし、この場合、生命保険の非課税額「500万円×法定相続人の数」(相続税法12条)の適用がありませんので注意しましょう。
なお、以下の保険金もリビング・ニーズ特約保険金と同様に扱われます。
・高度障害保険金
・身体障害保険金
・介護保険金
・3大疾病保険金
リビング・ニーズ特約保険金の使途は自由です。使い道をよく考え効果的に活用しましょう。
出典
e-GOV 法令検索 昭和四十年法律第三十三号 所得税法
所得税法施行令第30条第1号
所得税法第9条第1項第17号
所得税基本通達9-20、9-21
変相続税法第12条第1項第5号更
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。