更新日: 2023.06.12 損害保険
【地震保険】現在、火災保険しか入っていません。地震で被害を受けたら本当に補償ゼロですか?
「地震で被害を受けたら、本当に火災保険の補償は何もないのか」が、本記事のテーマです。本記事を読むことにより、火災保険についての理解を深めていただけたら幸いです。なお本記事では、建物に対する補償のことを「補償」、建物に対する損害を「損害」といいます。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
火災保険の補償範囲は火災による損害だけではない
火災保険は、一般に、火災による建物の損害を補償してくれる保険と思われています。しかし火災保険は、火災以外の原因によって損害を受けた場合であっても、補償してくれる場合があります。
火災保険の主な補償範囲は、図表1のとおりです。
【図表1】
補償範囲 | 補償される損害例 |
---|---|
火災、落雷、破裂・爆発 | 火災(もらい火を含む)による損害 落雷による損害 ガス爆発(ガスもれ)による損害 |
風災、雹(ひょう)災、雪災 | 暴風・台風による損害 ひょうによる損害 なだれによる損害 |
水災 | 床上浸水(台風)による損害 土砂崩れによる損害 |
水ぬれ、外部からの物体の衝突など | 浸水(水道管破裂)による損害 自動車の衝突による損害 |
盗難 | 空き巣による損害 |
※筆者作成
ただし、上記のような損害であっても、地震が原因で発生した損害は、火災保険の補償の範囲外となります。
例えば、地震を原因とした火災が発生し、損害を受けた場合、基本的に火災保険の補償の対象とはなりません。これらの損害については、地震保険の補償対象となります。
火災保険でも補償される場合がある
火災保険は、「損害保険」に分類されます。補償される範囲は先述のとおりであり、これに対し支払われるお金を「損害保険金」といいます。
損害保険で支払われる保険金には、「損害保険金」のほかに「費用保険金」があります。費用保険金とは、損害が生じることにより発生した費用のうち、修繕費以外の諸経費をサポートするための保険金です。多くの保険会社では、損害保険金(基本補償)と費用保険金(費用の補償)がセットになっています。
費用保険金には、一般的に「地震火災費用保険金」が含まれています。地震火災費用保険金とは、地震などによる火災で、保険の対象となる建物が半焼以上となったときなどに受け取れる保険金です。保険金は、一般に、保険金額の5%であることが多いようです。
したがって、火災保険しか加入していなかったとしても、地震による損害で補償を受けられる可能性はあります。ポイントは、以下のとおりです。
●火災保険に費用の補償があり、そこに地震火災費用が含まれているか
●地震を原因とした火災で、半焼以上の損害を受ける
まとめ
本記事では、「地震で被害を受けたら、本当に火災保険の補償は何もないのか」をテーマに、火災保険について解説をしました。ポイントは以下のとおりです。
●火災保険の補償の範囲は、火災による損害だけではない
●地震に起因する損害は、基本的に火災保険の補償の範囲外である
●火災保険に「費用の補償」が付帯していれば、地震に起因する火災があった場合でも、地震火災費用保険金が支払われる可能性がある
●地震火災費用保険金は、保険金額の5%であることが多い
地震による損害に対し、火災保険の補償が何もないわけではありません。本記事を参考に、ご自身の加入している火災保険の補償内容を、再度確認してみましょう。
その上で、地震が発生したときの備えとして不安が残るようであれば、地震保険への加入を検討するのがよいでしょう。
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー