【生命保険】特定疾病(3大疾病)保障保険とは?
配信日: 2023.07.04
また、急性心筋梗塞などで入院すると費用も多くかかり、高額療養費制度を適用しても、医療費の自己負担は軽くありません。医療保険ではカバーできない差額ベッド代等もかかる場合があります。
この記事では、がん・急性心筋梗塞・脳卒中になった場合の費用に備える特定疾病(3大疾病)保障保険について解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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特定疾病保障保険とは
特定疾病保障保険とは、「特定の疾病」により被保険者が「所定の状態」になったときに、生前に保険金を受け取れる保険をいいます。
生前に保険金を受け取ると契約は消滅します。その後、高度障害や死亡しても保険金は受け取れません。「所定の状態」になることなく、死亡・高度障がい状態になった場合でも同額の保険金が受け取れます。掛け捨てにならない点が良いですね。また、中途解約時には解約返戻金があるのが一般的です。
被保険者等が受け取った特定疾病保険金・高度障害保険金は非課税です。ただし、使い残した分は相続税の対象となります。死亡保険金は契約形態により。相続税、贈与税、所得税のいずれかになります。
「特定疾病」は一般的に「悪性新生物(がん)」「急性心筋梗塞」「脳卒中」をいいます。最近では、保険会社によっては、これら3大疾病に加え、「高血圧性疾患」「糖尿病」「肝疾患」「腎疾患」まで保障の範囲を広げている保険会社もあります。
特定疾病保障保険には、保障期間に関し、「終身保険タイプ」と「定期保険タイプ」があります。また、「主契約タイプ」と終身保険や医療保険、住宅ローンに加入する時の団体生命保険に付帯する「特約タイプ」があります。
では、3大疾病の支払条件を確認してみましょう。保険会社によって支払条件はさまざまです。以下は一般的な支払条件です。
悪性新生物(がん)
被保険者が責任開始期前を含めて、生まれて初めて悪性新生物(がん)と医師により診断確定されたときに支払われます。ただし、一般にがん保険と同様、「責任開始日から90日以内に乳がん(または、がん全般)と診断確定された場合には保険金は支払われません。
所定のがん(悪性新生物)と診断確定された場合に、保険金を受け取れる商品もあります(90日の待ち期間不要)。
また、がん保険の中には「上皮内がん」「悪性黒色腫以外の皮膚がん」を対象とする商品もありますが、特定疾病保障保険の「悪性新生物(がん)」は、通常「上皮内がん」「悪性黒色腫以外の皮膚がん」を保障の対象としていません。
急性心筋梗塞
被保険者が急性心筋梗塞となり、初めて医師の診療を受けた日から、その日を含めて60日以上労働の制限を必要とする状態が継続したと、医師により診断されたときに保険金が支払われます。
医療の進歩により、ステントを使用したカテーテル治療が一般的ですので、60日以内に職場復帰も難しくありません。このケースでは「60日ルール」を支払条件にしている保険では保険金は支払われません。
保険会社によっては、急性心筋梗塞の治療のための手術を受けたときに保険金が支払われるタイプもあります。このような商品に見直してはいかがでしょうか。
急性心筋梗塞とは、急激に血管内がプラークや血栓などで詰まり、冠動脈内の血流がなくなってしまい、心筋に栄養と酸素が十分に届かず、心筋そのものが壊死(えし)を起こした状態をいます。したがって、慢性心筋梗塞や狭心症は保障の対象外です。
「労働が制限された」とは、一般に「軽い家事などの軽労働や事務などの座業はできるが、それ以外の活動では制限を必要とする状態」をいいます。
脳卒中
被保険者が責任開始期以後の疾病を原因として脳卒中になり、初めて医師の診療を受けた日から、その日を含め60日以上、言語障害、運動失調、麻痺などの「他覚的な神経学的後遺症が継続」したと、医師により診断されたときに保険金が支払われます。最近では、脳卒中の治療のための手術を受けたときに保険金が支払われるタイプも増えてきました。
脳卒中とは、脳の血管の障害により身体機能や言語機能に麻痺が起こる病気をいいます。脳卒中には、脳の欠陥が詰まり発症する「脳梗塞」、脳の血管が破れて発症する「脳出血」、「くも膜下出血」があります。
「他覚的な神経学的後遺症が継続」とは、一般的に、客観的な観察(視診、触診、画像検査、神経学的検査など)によって確認できる身体的な異常をいいます。たとえば、手足の麻痺や言語障害などです。
まとめ
医学やリハビリ技術の進歩により、近年は「60日以上労働の制限を必要とする状態」にはなりにくいので、かなり前に加入した3大疾病保険は保険金をもらえる可能性は高くないかもしれません。
最近の3大疾病保険には、悪性新生物(がん)になったとき「90日の待ち期間」の制限のないものや、急性心筋梗塞や脳卒中になったとき「治療のための手術を受けたときに」保険金が支払われる保険もあります。
保障の範囲や支払条件を確認しておくことが大切です。
出典
国立循環器病研究センター 急性心筋梗塞
厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況/死亡総数に占める割合
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー