4月から新卒社会人になりましたが、「親の古い保険証」で病院に行っても大丈夫ですか?「新しい保険証」が手元にないのですが、病院に行くことになりました…
配信日: 2024.04.11
保険証がないと医療費の負担が大きくなるため、自分名義の保険証が届くまでは親の被扶養者として交付されている保険証を使おうと考える人もいるでしょう。しかし、その行為は犯罪にもなることもあります。本記事では、新しい保険証が届くまではどうすればいいのかを解説します。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
保険証を提示することで受診料や薬代の負担が少なくて済む
日本では健康保険に加入し、保険証を提示することで受診するときや薬をもらうときにかかる費用の負担が1~3割に軽減されます。なお、新卒社員の場合の負担割合は原則3割です。例えば受診料と薬代の合計が1万円だった場合を考えます。
保険証を提示することで、1万円のうち7割に当たる7000円は健康保険でまかなわれるため、医療機関の窓口で支払うお金は3000円です。
しかしながら保険証がない場合は、健康保険に加入していることが証明できないため、1万円全額をその場で支払わなければいけません。
親の保険証は入社のタイミングで資格喪失、詐欺罪に問われる場合も
4月から新入社員として会社員となった場合、入社日に勤める企業の健康保険に加入することになります。今まで使っていた保険証は、会社の健康保険に入った時点で無効です。
医療機関では保険証が有効であるか確認できないため、その場では保険証は使えてしまいますが、後日、健康保険でまかなわれた分の返金を求められます。先ほどの例と同じように受診料・薬代の合計が1万円だった場合、7000円きっちり請求されるということです。
なお、全国健康保険協会は「失効した保険証を繰り返し使用すると、刑法により詐欺罪で処罰されることがある」と警告しています。無効の健康保険証を使って医療費負担を軽くしようとする行為は、犯罪にもなり得るのです。
新卒入社だけではなく、転職や退職で加入する健康保険が変わったときにも当てはまります。手元に保険証があっても、資格がないものは絶対に使わないようにしましょう。
保険証が届く前の受診も全額負担は一時的
保険証が届く前に受診してしまうと医療費の請求が高額となるため、病院に行くことをためらう人もいるかもしれません。
しかし保険証がなくても、今回のように手続き中など健康保険が認める場合であれば、後日手続きをすれば本来なら医療保険が負担してくれる分の返金を受けられます。
ただし返金には病院や薬局でもらった領収証が必要な場合がほとんどなので、受け取り忘れや紛失に注意しましょう。
立て替えが難しい場合は「健康保険被保険者資格証明書」の発行を依頼
保険証がない状態で医療機関にかかると、一時的とはいえ多額の医療費負担が発生します。初任給をもらうまでの期間、引越しなどにより貯金がない人もいるかもしれません。
受診料や薬代の支払いが厳しい人は、「健康保険被保険者資格証明書」の発行を依頼しましょう。保険証に代わって保険に加入していることを証明する書類です。証明書があれば、保険証が届く前でも窓口負担が3割で済みます。
健康保険は正しく使おう
日本では医療費の負担が少ないことが当たり前となっていますが、あくまでも保険証を正しく使ったときに限られます。特に新社会人になるタイミングや転職するタイミングは健康保険証に関するトラブルが起こりがちです。
保険証が届く前でも後日返金を受けられますし、保険証の代わりとなる証明書をもらう手もあります。不正利用することで、自分だけではなく医療機関や保険者にも大きな負担がかかるため、保険証は正しく使いましょう。
出典
厚生労働省 我が国の医療保険について
全国健康保険協会 けんぽ委員だより(令和4年2月号)
全国健康保険協会 愛媛支部 保険証はいつまで有効?
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士