平均「月7082円」! 人によって保険料額が異なる「後期高齢者医療制度」とは? 窓口での支払いは1割とは限らないって本当?“判定基準”などを解説
配信日: 2024.08.15
本記事では、後期高齢者医療制度の保険料の算定方法や窓口負担割合の判定基準など、後期高齢者医療制度の概要について解説します。
執筆者:梅井沙也香(うめい さやか)
FP2級
後期高齢者医療制度とは
後期高齢者医療制度とは、「75歳以上の人」や「65歳以上74歳以下で一定の障害状態にあると認定を受けた人」を対象とする公的医療保険制度のことです。
65歳以上74歳以下の場合は、「障害者手帳1~3級、または4級の一部に該当する場合」や「療育手帳(A)を持っている場合」など、一定の障害状態に該当する人が対象となります。
75歳になると、会社に勤めているかどうかに関係なく、現在加入している健康保険や共済などの医療保険から自動的に後期高齢者医療制度へ加入することになるため、手続きの必要はありません。後期高齢者医療制度の保険料や窓口負担については以下で解説します。
保険料
後期高齢者医療制度の保険料は、本人の所得や住んでいる地域などで異なり、令和6年度の全国平均は1人あたり月額7082円となる見込みです。
保険料額は、都道府県ごとに一律で定められている「均等割額」と、本人の所得によって計算される「所得割額」によって決められます。
所得割額の計算方法は「(総所得金額-基礎控除43万円)×所得割率」で、所得割率は都道府県ごとに定められています。
都道府県ごとに定められている「均等割額」と「所得割率」は2年ごとに見直しが行われ、令和6・7年度の全国平均の均等割額は5万389円、所得割率は10.21%です。
令和7年度の全国平均は1人あたり月額7192円の見込みとなり、令和6年度より110円増加すると言われています。
また、後期高齢者医療制度では保険料の軽減措置があり、軽減措置は「低所得者」や「健康保険などの被扶養者(被保険者によって扶養されていた人)から後期高齢者医療制度に加入した人」が対象です。
健康保険などの被扶養者から後期高齢者医療制度に加入した人は、加入月から2年間「所得割額の自己負担なし」と「均等割額の5割軽減」が適用されます。
低所得者の場合は、所得によって均等割額が2~7割に軽減されたり、保険料の見直しによる負担増加を緩和するため、収入に応じて「負担の増加なし」や「所得割の増加なし」となる措置が取られたりします。
窓口負担額
後期高齢者医療制度での窓口負担額は、収入によって1割~3割と人によって異なります。窓口負担割合ごとの収入の判定基準は図表1の通りです。
図表1
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合についてより筆者作成
令和4年10月以前は一般所得者の1割負担と現役並み所得者の3割負担だけでしたが、令和4年10月1日から、一般所得者のうち一定以上の所得がある者は窓口負担が2割となる新しい区分に分けられました。
まとめ
後期高齢者医療制度と は、「75歳以上の人」や「65歳以上74歳以下で一定の障害状態にある人」を対象とする公的医療保険制度で、75歳以上になると現在加入している健康保険や共済などから自動的に後期高齢者医療制度へ切り替わります。
保険料額は、都道府県ごとに一律で定められている「均等割額」と、本人の所得によって計算される「所得割額」によって決められ、令和6年度の全国平均は1人あたり月額7082円となる見込みです。
窓口での自己負担額は、課税所得が28万円未満の一般所得者は1割、所得が145万円以上の現役並み所得者は3割で、令和4年10月1日から一般所得者のうち所得が一定以上ある人は2割負担とされています。
年を重ねればすべての人に関係してくる制度です。保険料や窓口負担額など、制度の概要をきちんと理解しておきましょう。
出典
厚生労働省 令和6年度からの後期高齢者医療の保険料について
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について p.2
厚生労働省 後期高齢者の保険料軽減措置について【現行】
執筆者:梅井沙也香
FP2級