【地震保険、入っていますか?】地震保険の付帯率が「20年連続で増加中」!保険料などのポイントを解説

配信日: 2024.09.06

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【地震保険、入っていますか?】地震保険の付帯率が「20年連続で増加中」!保険料などのポイントを解説
2024年においても、日本中で震度5以上の大規模な地震が頻発しています。また、8月には気象庁から「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発令され、巨大地震情報に対する注意喚起がなされています。
 
この記事では、大規模地震発生時の住宅等の損害に備える「地震保険」について、保険料などの数値に関する情報を中心に考えていきます。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

保険料がお得になる長期契約

地震保険は、単独で契約することができないため、「火災保険」とともに契約することとなっています。
 
地震保険の保険料は、同一条件(同一の「建物の構造」「建物の所在地」「建物の耐震性能」「保険期間」)の場合、どの保険会社で契約したとしても同じ保険料額となります。ただし、火災保険とセットで契約する必要があるため、それぞれ別々の保険会社で契約することはできません。
 
また、地震保険の保険期間は、最長で5年となっています。ただし、主契約となる火災保険の保険期間の末日までが最長の保険期間となります(火災保険の保険期間も最長5年)。
 
すでに火災保険を契約している場合、火災保険の保険期間中に地震保険を中途契約することは可能です。この場合でも地震保険の保険期間は、火災保険の残存保険期間の末日までとなります。
 
なお、地震保険の保険料は、2年以上の長期契約で一括払いすることで、1年契約(年払い)するよりお得になります。図表1の保険期間ごとの係数を、1年契約の保険料に掛けた金額が、割引後の保険料となります。
 
図表1


一般社団法人日本損害保険協会 損害保険Q&A 「問66 地震保険の保険期間を1年以上で契約することはできますか。」より筆者作成
 
つまり、保険期間1年の保険料が100万円であった場合、1年契約を繰り返す場合は5年間の保険料が500万円となりますが、5年契約で一括払いした場合には465万円となります。ちなみに、その際の1年当たりの保険料は93万円で、7%割引となっています。
 

その他の割引制度

地震保険には、免震や耐震性能などに応じた4つの割引制度があります。ただし、割引制度を重複して適用することはできないので、要件に該当するもののうち、いずれかの高い割引率が適用されます。
 

(1)免震建築物割引:割引率50%

住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」という)に基づく免震建築物であること
 

(2)耐震等級割引:耐震等級3は50%、耐震等級2は30%、耐震等級1は10%

「品確法」に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有していること
 

(3)耐震診断割引:10%

地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法による耐震基準を満たすこと
 

(4)建築年割引:10%

1981年6月1日以降に新築された建築物であること
 
以上のとおり、1981年6月1日以降の建築物には10%の割引率が適用され、それ以前の建築物であっても、耐震診断や耐震改修により耐震基準を満たすことで、10%の割引となります。
 

マンションの地震保険

マンション(区分所有建物)に対する地震保険は、一般的には、専有部分(自宅の室内)については区分所有者が個々に契約し、その他の区分所有者全員の共有となっている共用部分(エントランス、廊下、外壁など)についてはマンション管理組合が一括して契約します。
 
つまり、専有部分の保険料は、その契約内容に応じて区分所有者個々が負担します。共用部分の保険料は、管理組合が一括して契約し、管理費会計から支払われることになります(各区分所有者が負担する管理費等から支出する)。
 
共用部分の区分所有者の地震保険の保険金額は、以下の金額の範囲で設定されます。


区分所有者の地震保険の保険金額
=共用部分の火災保険の保険金額×区分所有者の共有持分割合×30~50%

ただし、区分所有者ごとの保険金額の限度は、区分所有者ごとの共用部分と専有部分の保険金額を合算して5000万円が限度となります。
 

まとめ

損害保険料率算出機構によると、2022年度の地震保険付帯率(火災保険に併せて地震保険を契約している割合)は、69.4%となっており、2003年度以降20年連続の増加となっています。また、世帯加入率(全世帯に対してどの程度の世帯が地震保険を契約しているか)は35.1%となっています。
 
さらに、保険料の基本料率(2022年10月1日以降保険始期)については、都道府県別のリスクに応じて、保険金額1000万円当たり保険期間1年の保険料(イ構造;主として鉄骨・コンクリート造建物等)において、最も低い7300円(北海道など)の場合と最も高い2万7500円(東京都など)の場合とで、4倍近くの差があります。
 
地震保険の契約に際しては、割引制度を含めたこれらの数値を十分に理解したうえで、検討することをお勧めします。
 

出典

一般社団法人日本損害保険協会 損害保険Q&A すまいの保険/地震保険

損害保険料率算出機構 ニュースリリース 火災保険加入者の69.4%が地震保険に加入(2022年度地震保険付帯率) ~前年度から0.4ポイント増、2003年度以降20年連続増加(過去最高値)~
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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