学資保険を一括受け取りにしたことで「税金がかかった」と言う友人。損をしない方法はあるのでしょうか?
配信日: 2024.10.10
そこで本記事では、学資保険で受け取ったお金にはどのような税金がかかるのか、税金を抑えて受け取れる方法はあるのかを解説します。学資保険を契約している方、検討している方はぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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学資保険の受け取りでかかる税金とは
学資保険の保険金を受け取ると税金がかかる可能性がある上に、契約内容や受け取り方法によって税金の種類も異なります。注目する点は、以下の2つです。
・契約者と受取人が同一であるか
・学資保険の受け取りは一括か分割か
以降で詳しく解説します。
契約者と受取人が同一であるか
契約者と受取人が同じ場合に発生するものが、「所得税」といわれています。また、契約者と受取人が異なる場合には「贈与税」が発生する可能性があります。
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金のことです。1年間の全ての所得から所得控除を差し引き、残りの所得に税率を適用し税額を計算します。所得が多くなるほど、税率が高くなります。
贈与税は、個人から贈与によって財産を取得したときにかかる税金のことです。法人からの贈与の場合は「所得税」になります。
受取人が異なるケースとして考えられるのは、契約者が親もしくは祖父母、受取人が子どももしくは孫といった場合や、父親が契約者で受取人が母親の場合があるようです。
学資保険の受け取りは一括か分割か
学資保険は「所得税」か「贈与税」の課税対象となる可能性が高いことが分かりました。さらに、受け取り方法によっても税金の種類が変わるといわれています。
契約者と受取人が同一である場合、一括受け取りは「一時所得」、分割受け取りは「雑所得」という扱いになります。それぞれの課税対象額の計算方法を、表1にまとめました。
表1
受け取り方法 | 課税対象額の計算方法 |
---|---|
一括で受け取る「一時所得」 | 受け取った総額-支払総額-50万円(特別控除額)で残った額の2分の1 |
分割で受け取る「雑所得」 | その年に受け取った金額-支払総額 |
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」を基に筆者作成
なお、雑所得には一時所得にあるような特別控除はありません。上記の計算式にて算出した雑所得に、ほかの所得をあわせて所得税や住民税を計算します。
契約者と受取人が異なる場合には、「贈与税」がかかる可能性があります。「その年に贈与で受け取った金額-基礎控除額110万円」で計算した金額に税率をかけます。税率は、基礎控除額110万円を差し引いた後の金額により異なります。
学資保険を非課税で受け取る方法はある?
一括で受け取る「一時所得」と、分割で受け取る「雑所得」を比較した際、「一時所得」には50万円の特別控除があります。「受け取った総額-支払総額」が50万円以内であれば、一時所得の課税対象にはならないため、一括受け取りでも税金が発生することはないでしょう。
また、会社員は給与や退職所得以外の所得が20万円以下の場合、確定申告をする必要がありません。よって、分割で受け取る際の「雑所得」が20万円以内であれば、税金がかからない可能性が高くなります。
ただし、学資保険の受け取りでは、契約内容や受け取り方法によって課税方式はさまざまです。そのため、一概に「この方法だと税金がかからない」とは言い難いでしょう。学資保険を非課税で受け取りたい場合は、加入している保険会社に問い合わせてみるといいかもしれません。
学資保険の受け取りは課税対象になる可能性が高い。上手に受け取りたい場合は相談を
学資保険の受け取りは、課税対象になる可能性が高いことが分かりました。
契約者と受取人が同じ場合は「所得税」がかかる可能性があります。さらに、一括で受け取れば「一時所得」、分割なら「雑所得」の課税対象です。契約者と受取人が異なる場合には「贈与税」が発生するかもしれません。
一時所得では、「受け取った総額-支払総額」が50万円以内であれば、課税対象にはならないため、一括受け取りでも税金が発生しないケースもあるでしょう。
ただし、契約内容や受け取り方法によって、さまざまなケースが考えられます。学資保険を上手に受け取りたい場合は、一度加入する保険会社に相談してみることをおすすめします。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー