更新日: 2024.11.29 その他保険
12月に健康保険証が使えなくなる!? マイナンバーカードを作っていないのですが、マイナ保険証がないと全額自己負担になるのですか?
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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健康保険証の廃止後も、急に全額自己負担になることはありません
現在、健康保険証の役割をマイナンバーカードに一本化する計画が進められており、2024年12月2日以降は従来の健康保険証が廃止される予定です。ただし、マイナンバーカードを持っていないからといって、「全額自己負担になることはありません」
厚生労働省のホームページにも、以下のように明記されています。
「2024年12月2日以降、新たに健康保険証は“発行”されなくなります」
現在手元にある健康保険証は、有効期限までの間最長で1年間は使用できます(後期高齢者の方の有効期限は2025年7月31日まで)。
まず、このようなマイナ保険証の方向性を打ち出した背景について見ていきましょう。
健康保険証をマイナンバーカードに一本化する理由
行政や医療現場の効率化、不正利用の防止、国民の利便性向上など、さまざまな側面でメリットを提供することを目指しているためです。
1. デジタル化による行政手続きの効率化
もっとも大きな理由は、行政手続きを効率化し、デジタル化を推進する狙いからであるといわれています。従来、健康保険証の発行や更新は健康保険組合や自治体が担当しており、手続きに手間や時間がかかっていました。
これをマイナンバーカードに健康保険証の機能を統合することで、情報の一元管理が可能になり、行政のコスト削減や手続きの迅速化が期待されています。
2. 医療現場の負担軽減と利便性・安全性向上
2つめには、医療機関や薬局での本人確認が簡素化され、保険資格の確認作業の効率化につながり、医療現場の事務負担が軽減されます。また、患者の薬剤や医療歴などの情報を一元的に管理することで、医療の質を向上させ、過去の医療情報に基づいた適切な治療が提供できます。
さらに顔認証や暗証番号の設定があるため、従来の紙ベースの健康保険証に比べて医療費の不正請求の防止にも役立ち安全性が向上します。
マイナンバーカード未取得者に対する代替措置
このようなメリットはあっても、やはり従来の健康保険証になじんでいた人のなかには抵抗を覚える人もいるでしょうし、個人情報は保護されているのかといった不安を感じている人もいるでしょう。
またマイナンバーカードは発行までに時間もかかりますので、そういう方のために代替措置がとられています。
1. 医療機関での暫定対応
健康保険証廃止後も、マイナンバーカードをまだ取得していない方のために、医療機関側で保険資格を確認できる仕組みが整備されることになっています。したがって、通常の窓口負担で医療を受けられる可能性が高いです。
2. 資格確認書の発行
マイナンバーカードをまだ作っていない人や、マイナンバーカードの利用に不安がある人のために、自治体や保険者から「資格確認書」という代替の書類が発行されることになっています。この資格確認書を持参することによって、これまでの健康保険証と同じく、一定割合の自己負担で医療行為が受けられます。
3. 健康保険の資格確認
健康保険組合などの保険者側で、保険資格の確認ができるように準備が進められています。マイナ保険証がなくても、急に全額自己負担にはならない見込みです。
まとめ
従来の健康保険証の廃止でマイナンバーカードへの一本化は、行政や医療現場の効率化や医療の適切かつスムーズな対応、不正利用防止などのメリットが大きいと判断して推進していると報道されています。一方で、マイナンバーカードに対する個人情報漏えいを懸念する声があることも事実です。
デジタル化移行には課題があり、一本化するには時間がかかりそうです。これらの不安の解消に向けた取り組みに、注視していくことも大切です。デジタル庁のサイトなども、定期的に確認しましょう。
出典
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用について
デジタル庁 マイナポータル
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者