派遣で働いており契約満了が近づきましたが更新されませんでした……。派遣でも失業保険はもらえるのでしょうか?

配信日: 2024.12.07

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派遣で働いており契約満了が近づきましたが更新されませんでした……。派遣でも失業保険はもらえるのでしょうか?
派遣社員の失業保険がどうなっているのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、派遣として働いている方が契約更新をされず失業してしまった場合に、失業保険が受け取れるのかどうかについて解説します。失業保険が受け取れる場合、いくら受け取れるかについても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

派遣でも失業保険はもらえるのか?

失業保険とは雇用保険の「基本手当」のことで、雇用保険の被保険者(加入していた方)が定年・倒産・契約期間満了などの理由により離職したときに保険金を受け取れるものです。
 
基本手当を受け取るためには、以下の受給要件を満たす必要があります。

●「失業の状態」にあること
●離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること

「失業の状態」とは、就職する意思・就職できる能力があるにもかかわらず就職できない状態のことをいいます。病気やけが・妊娠・出産・育児などですぐに就職できない場合や就職する意思がない場合は「失業の状態」には該当せず、基本手当を受け取ることができません。
 
ところで、「派遣」という働き方には、「登録型(有期雇用)派遣」「常用型(無期雇用)派遣」「紹介予定派遣」の3種類があります。このうち、契約が更新されず失業する可能性があるのは登録型派遣です。
 
登録型派遣の場合、就業先(派遣先)が決まった時点で派遣社員と派遣会社(派遣元の会社)の雇用関係が生じ、派遣期間の満了や派遣契約の終了と共に雇用関係も消滅します。
 
派遣で働いていた方が「失業の状態(基本手当の受給要件)」にあるということは、例えば、派遣会社に仕事を紹介してもらえるようお願いしていたが仕事が決まっていないという状態にあるということです。
 

基本手当をいくら受け取れるのか?

派遣の方であっても受給要件を満たしていれば、基本手当を受け取ることができます。受け取れる基本手当の総額は「基本手当日額」に「所定給付日数」を乗じた金額となります。
 
基本手当日額は以下の計算式によって算出されます。
 
(離職前の6ヶ月に支払われた給与の総支給額÷ 180 )×( 45~80%)
 
ただし、この額は年齢区分ごとに上限額が決められており、令和6年8月1日時点では30歳未満7065円・30歳以上45歳未満7845円・45歳以上60歳未満8635円・60歳以上65歳未満7420円となっています。
 
所定給付日数は、離職日における年齢・被保険者であった期間・離職理由などによって、90日から360日の間で決められます。例えば離職理由が「会社都合(特定受給資格者・一部の特定理由離職者に該当)」の場合の所定給付日数は図表1のようになります。
 
図表1
図表1
出典:ハローワーク インターネットサービス 「基本手当の所定給付日数」
 
また、離職理由が「自己都合(特定受給資格者・一部の特定理由離職者・就職困難者以外の離職者)」の場合の所定給付日数は図表2のようになります。
 
図表2
図表2
出典:ハローワーク インターネットサービス 「基本手当の所定給付日数」
 
例えば、会社都合で離職した方の年齢が35歳以上45歳未満であって、雇用保険の被保険者であった期間が1年以上5年未満、基本手当日額が3500円であった場合、受け取れる基本手当の総額は52万5000円(=基本手当日額3500円×所定給付日数150日)となります。
 

まとめ

派遣社員であっても、雇用保険に加入をしており、基本手当の受給要件を満たせば失業保険を受け取ることができます。受給要件とは、(1)「失業の状態」にあることと、(2)離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることです。
 
受け取れる基本手当の総額は「基本手当日額」に「所定給付日数」を乗じた金額となります。基本手当日額は、およそ「離職前6ヶ月間の平均日給のおよそ50~80%」(60~64歳は45~80%)です。所定給付日数は離職日における年齢・被保険者であった期間・離職理由などによって異なり、「90~360日」の間で決められます。
 
結論として、派遣であっても失業保険(基本手当)を受け取ることはできます。したがって、収入がゼロになることは避けられます。ただ、受け取れる基本手当の額は離職前の給料に比べ半分程度になる可能性があり、今後の資金計画にも影響があるのではないでしょうか。
 
ファイナンシャルプランナーは「キャッシュフロー表」を作成して、将来のお金の流れを可視化して予想・把握します。
 
失業など収入面での思わぬアクシデントがあった場合であっても、資金計画を可視化しておくことで、その後の対応を冷静に考えることができます。キャッシュフロー表をまだ作成したことがないのであれば、今後、作成することを検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス 基本手当について
厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス 基本手当の所定給付日数
厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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