わが家のマイカー、任意保険には入っていますが車両保険はいらないと思っています。しかし妻は「入ったほうがいい」と……加入すべきですか?
配信日: 2024.12.13
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
自動車に関する保険
まず、自動車に関する保険ですが、強制的に加入しなければならない自賠責保険と、任意で加入するか否かを決めることができる自動車保険の2つに分けられます。
強制加入の自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は、事故を起こした場合の被害者救済を目的とした保険で人身事故のみが保険対象であり、1人当たりの保険金の支払限度額は図表1のようになっています。
図表1
この保険の特徴は上記のとおり被害者救済が目的ですので、示談等がなくても被害者が保険会社に直接保険金(この場合は損害賠償額)を支払うように要求できます。
また、自賠責保険はたとえ事故を起こさなくても、未加入の場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、自賠責保険の証明書を所持していない場合は30万円以下の罰金が科せられます。また、無保険の状態で運転した場合は一度に6点の違反点数が加算されるため、その場で免許停止処分となります。
ただ、図表1の額では当然カバーできるものではありません。過去の判例ですと、認定された総損害額が5億円を超える判決も出ています。そうなると、自賠責保険だけではどうすることもできないでしょう。そこで、それ以上の補償を付けるものを任意保険といいます。
任意保険にはどのようなものがあるの?
任意保険なのでさまざまな種類がありますが、まずは相手への補償が異なっています。図表1のように、自賠責保険では死亡時の1人当たりの支払限度額が3000万円ですが、任意保険では支払額が無制限という保険もあります(対人賠償)。
また、事故を起こせば当然、自動車は破損しますし、場合によっては事故現場付近の建物にも被害が及びます。そのカバーをしてくれる(対物賠償)のもこの保険の特徴です。それに事故を起こした本人も死亡したり、けがをしたりする可能性は大きいのでその補償(人身傷害)もあります。
車両保険とは
実は、車両保険も任意保険の一部です。図にすると図表2のようになります。
図表2
つまり、車両保険を付けるか否かは、事故を起こしたとき、ご自身の自動車の修理代等を保険で賄うか否かという問題になります。
実際どれくらいの割合で加入しているの?
損害保険料率算出機構の調べによると、2023年3月末時点で対人賠償や対物賠償への保険加入率は75.2%ですが、車両保険の加入率は46.6%と他の保険より低くなっています。
加入したほうがよいのか否かは…
ご夫婦の間で意見が分かれるのはもっともですし、どちらが正しい・間違っているというわけでもありません。確かにそれぞれメリット・デメリットがありますので、それを加味したうえで判断するのがよいでしょうが、費用の面だけで考えればネット申し込みのほうが安くなる傾向はあります。
各社の補償内容だけでなく、申し込み方法も考えて加入するか否かを考えるのがよいでしょう。
出典
国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト もしも、自賠責保険・共済に加入していないと
損害保険料率算出機構 自動車保険 都道府県別加入率
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表