今はやりの「電動キックスケーター」に乗ってみたいけど「事故」を起こしたらどうしよう。保険はありますか?

配信日: 2025.01.16

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今はやりの「電動キックスケーター」に乗ってみたいけど「事故」を起こしたらどうしよう。保険はありますか?
最近街中でもよく見かける電動キックスケーター。自転車のように自力でこぐわけでもなく、バイクに比べてもお手軽な乗り物ですね。しかし、電動キックスケーターは、自動車やバイクと同じように自賠責保険等に加入義務があることをご存じですか? もし、加入せずに運転すると、処罰の対象になります。

実際にどのような乗り物に乗る場合に、どのような決まりがあるのか見ていきましょう。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

電動キックスケーターとは

電動キックスケーターは、2023年7月の道路交通法改正で「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という車両区分で設置されたもので、免許が不要な乗り物です。
 
特定小型原動機付自転車の要件としては、一般原動機付自転車(一般原付)との違いは、

●最高速度20km以下に制限されている
●定格出力0.6w以下である
●車体の長さ1.9m以下×幅0.6m以下である
●特定小型原付に必要な保安部品が装着されている
●最高速度表示灯が備えられていること
●道路運送車両の保安基準に適合していること
●自動車損害賠償責任保険(共済)の契約をしていること
●標識(ナンバープレート)を取り付けていること

となっています。
 
また、乗ることができるのは16歳以上で、基本車道の左側を走り2車線以上ある道路では、一番左側の車線を通行しなければなりません。ただし、一定の基準を満たした特定小型原動機付自転車は、特例特定小型原動機付自転車として一部の歩道の通行が可能です。また、2人乗りは禁止です。
 

自賠責保険とは

上記の要件にも記載しているとおり、電動キックスケーターを運転するには自賠責保険に加入しなければなりません。
 
自賠責保険とは、加害者(交通事故を起こしてしまった人)から被害者への損害賠償の補填をはじめ、寝たきり状態や車椅子を利用することになるなど、日常生活で介護が必要となった方の介護費用の支援や、重度後遺障害となった方々の治療を専門とする病院を運営するなど、あらゆる形で被害者を救済する保険・共済制度です。
 
補償される範囲は対人事故の賠償損害のみです。支払限度額は被害者1人あたり図表1のとおりです。
 
【図表1】

図表1

もちろん、自賠責保険に未加入で人身事故を起こすと、損害賠償をすべて自身で支払うことになります。また、自賠責保険・共済はすべての自動車(原動機付自転車、電動キックスケーターを含む)において加入が義務付けられています。加入せずに運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
 

事故を起こした場合の損害賠償の額は

これまでいろいろな判例が出ていますが、自動車事故では最高5億円を超える損害賠償が認定されたり、自転車事故でも1億円近い損害賠償が認定されたりするなど、電動キックスケーターでも同様に多額の損害賠償が認められる可能性は非常に大きいです。
 

事故を起こさないように細心の注意を払って利用しましょう

いうまでもないですが、酒気帯び運転や酒酔い運転、運転中のスマホの利用、ヘッドホン等で音楽を聴くのも当然取り締まりの対象です。便利な乗り物には違いないですが、一歩間違えれば大惨事になります。
 
また、上記では人身事故で加害者になった場合の事例を書きましたが、車道を走るので車との接触もあるかもしれません。その場合、上記で書いたように自賠責保険はあくまで人身事故のみに適用されますので、車両を傷つけた場合にはその補償も発生しますし、逆に運転中に被害者になるかもしれません。
 
他の車両を運転するときと同様に、電動キックスケーターも交通安全に注意して利用するように心掛けましょう。
 

出典

国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト 電動キックボードの自賠責保険・共済
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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