「マイナ保険証」は使わなくても問題ない?「資格確認書」と「資格証明書」って何が違うの?
配信日: 2025.03.08

本記事では、マイナ保険証を使わない選択肢や従来の健康保険証の取扱いについて解説します。また、マイナ保険証の導入によって発行される「資格確認書」と、以前からあった「資格証明書」の違いについても触れます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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マイナ保険証を使わない選択肢とは?
マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」が導入されましたが、依然として利用を避けたいと考える人も少なくありません。
マイナ保険証を使わない人には、個人情報の漏えいリスク、システムトラブルへの懸念、利用環境の整備不足などの理由があるようです。国や健康保険組合、医療機関によってマイナ保険証への移行は進んでいますが、従来の保険証を希望する場合は「資格確認書」が発行される仕組みになっています。
また、マイナ保険証を利用することによって医療費が高くなることも懸念事項の1つです。マイナ保険証に対応している医療機関では、診療報酬の加算により3割負担の方で初診は21円、再診は12円増加します。従来の保険証の場合でも、一部の医療機関では令和6年3月31日まで9円の負担増となる恐れがあります。
従来の健康保険証はどうなる?
従来の健康保険証は、2024年12月2日以降新たに発行されることはありません。しかし、すぐに使えなくなるわけではなく、既存の健康保険証は最長で1年間有効とされています。政府はこの間にマイナ保険証へ移行するよう求めていますが、完全移行に不安を抱く人も多かったため、対応策として「資格確認書」の発行を決定しました。
資格確認書は、健康保険証に代わるものとして発行され、マイナ保険証を利用しない人でも医療を受けられるようにするためのものです。
ただし、資格確認書は申請が必要な場合もあり、発行までに時間がかかる可能性があります。特に高齢者や電子機器に不慣れな人にとっては、申請手続きそのものが大きな負担となっている恐れもあるのです。
「資格確認書」と「資格証明書」の違いは?
資格証明書とは、マイナ保険証が利用可能になるまでの間や資格確認書が交付されるまでの間、健康保険料の未納などの理由により、通常の健康保険証を持つことができない場合に発行される書類です。
資格証明書は先に述べた「資格確認書」とは異なり、一時的に保険資格を証明するためのものですが、自己負担割合が通常よりも高くなる恐れがあります。通常、健康保険証や資格確認書を使用する場合は、窓口での支払いは自己負担分のみ(1割~3割)で済みます。
ところが、資格証明書には一時的に全額(10割)を支払わなければならない場合があり、後日、保険者(協会けんぽや健康保険組合など)に請求することで、自己負担分を除いた金額の払い戻しを受ける必要があるのです。
資格証明書を発行された場合でも、速やかに健康保険の手続きを進めることで、通常の健康保険証へ切り替えることが可能です。特に、保険料の未納が原因で資格証明書になっている場合は、未納分を支払うことで通常の保険証に戻すことができます。
紛失時にかかる費用とその対応策
健康保険証や資格確認書を紛失した場合、再発行には手続きが必要ですが、マイナ保険証(マイナンバーカード)を紛失した場合も同様です。
具体的には、健康保険証や資格確認書を紛失した場合、加入している健康保険組合や協会けんぽへ再発行の申請を行います。手数料が発生するケースもあり、例えば企業の健康保険組合では、再発行費用が数百円から1000円程度です。
一方、マイナ保険証(マイナンバーカード)を紛失した場合は、まず警察へ遺失届を出し、市区町村の窓口で再発行手続きを行います。再発行には基本的に1000円の手数料がかかりますが、災害などの特別な事情がある場合は減免措置が適用されることもあります。
また、マイナ保険証の紛失により不正利用のリスクも高まるため、速やかに利用停止手続きを取ることが重要です。
マイナ保険証を使わない選択と今後の対応
マイナ保険証の導入により、従来の健康保険証は2024年12月以降に新規発行されることはありません。しかし、マイナ保険証を使わない人のために「資格確認書」が発行されるため、完全に保険診療が受けられなくなるわけではありません。
もし手元に資格確認書か資格証明書がある場合は、違いをよく理解しておく必要があります。政府は、資格確認書を当分の間使用できるものとしていますが、今後の制度変更に備えて情報収集を行い、適切な対応を取れるようにしておきましょう。
出典
全国健康保険協会 マイナ保険証への移行にあたって
デジタル庁 資格確認書(マイナ保険証以外の受診方法)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー