更新日: 2019.06.19 その他保険

がん保険の商品を選ぶ前に最低限、知っておきたい6つのこと

がん保険の商品を選ぶ前に最低限、知っておきたい6つのこと
がん保険は、ある程度の予備知識がないと適切な商品選びができません。なぜなら、がん保険のホームページやパンフレットには難しい用語が出てきますし、それぞれの保障が実際にどれくらい役立ちそうなのか判断がつかないからです。
 
そこで今回は、がん保険を選ぶにあたり知っておきたいことについて解説します。
 
横山琢哉

執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター

保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。

がん保険を選ぶために必要なのは「がんの治療」についての知識

筆者はわずかな期間ですが、保険の販売をしていた時期があります。がん保険については当時、どのような基準でおすすめすれば良いか分からず悩みました。
 
それでいろいろ考えた末、判断がつかないのはがんの治療についての知識がないことが原因だということに気付いたのです。詳細に説明するのは紙面の都合もあり難しいので、以下の解説を参考に、あとは自身で補っていただければ幸いです。
 

最低限、知っておきたい6つのこと

がん保険を選ぶ前に知っておきたい具体的な点を6つ、説明します。
 

がん治療の基本は保険診療(標準治療)

がんの治療を行ううえで基本となるのが、健康保険が使える保険診療(標準治療)です。なぜなら、標準治療は科学的なデータ(エビデンスと言います)が十分にそろっているものだけだからです。
 
進行した状態でがんが発見されると自由診療に興味をもつ人が多くいますが、自由診療を選択するのは保険診療で打ち手がなくなってからと考えるのが良いでしょう。標準治療であれば高額療養費制度が利用できるので、自由診療と比べればそれほど大きくない負担で済みます。
 

がんの3大治療は手術・放射線・化学療法

がんの治療法は手術・放射線治療・化学療法(抗がん剤や分子標的薬など)の3つです。実際はこれらの中から症状に合ったものを組み合わせて治療が行われます。
 
よくあるパターンは手術のあと、通院で化学療法を続けるケースです。この場合は1年近く続くこともあるため、高額療養費制度を利用しても月に数万円程度の負担が続く可能性があります。
 

検査でお金がかかることがある

がんと診断されると、健康保険が使えない検査にお金がかかることがあります。例えば「がん遺伝子パネル検査」は、がんの発症に関連する数百種類の遺伝子を網羅的に調べ、患者一人ひとりに合った医療を提供するためのものです。
 
費用は医療機関によって異なりますが、一例を挙げると富山大学附属病院では51万8800円、兵庫県立がんセンターでは95万7000円(いずれも記事執筆時点においてウェブサイトに掲載されていた金額)です。
 
健康保険が使えないため費用は基本的に自己負担となりますが、先進医療に指定されているため、医療保険やがん保険に先進医療特約を付加していれば、その大半を保険会社が負担してくれます。
 
なお記事執筆時点において、がん遺伝子パネル検査は2019年度中に保険適用される見通しとなっています。
 

がんは再発することが珍しくない

がんは治療を終えても、数年後に再発することが珍しくありません。再発すれば、言うまでもなく再び治療費がかかります。そのため、再発したときのことを想定して治療費を準備しておく必要があります。
 

上皮内新生物・悪性新生物という言葉の意味

がん保険のホームページやパンフレットには、医療関係者があまり使わない「上皮内新生物」「悪性新生物」という言葉が必ずと言っていいほど出てきます。
 
誤解をおそれずあえてシンプルに説明すると、上皮内新生物は初期のがんであり、適切な治療を施せば治癒するものです。そのため高額な治療費がかかるわけではありません。
 
がん保険は上皮内新生物なのか悪性新生物なのかによって、給付金の金額を変えている商品もあります。がん保険を選ぶときは、上皮内新生物も悪性新生物と同額の保障にするべきか迷う可能性が高いので、その性質について知っておくことは大事です。
 

乳がんは手術後にホルモン療法が長くかかることがある

女性がかかるがんの中で最も多いのが乳がんです。乳がん治療の特徴は、罹患した直後の治療を終えたあと、ホルモン療法が長く続くことが珍しくないということです。長ければ10年くらいの間、続きます。
 
1回あたりの自己負担はそれほど高額ではありませんが、長く続くため総額ではそれなりの金額になります。
 

まとめ

以上で説明したようなことを知っていると、がん保険を「何となく」選ぶことを少しは回避できるはずです。保険代理店へ保険加入の相談に行ったときでも、時間がかかりすぎるため、このような点について丁寧に説明を受けることはあまりないでしょう。
 
そのため、がんにかかってがん保険を実際に使うときに後悔したくないのであれば、相談に行く前の時点で少しでも自主的に学んでおくことをおすすめします。
 
出典
富山大学附属病院ウェブサイト
兵庫県立がんセンターウェブサイト
 
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 

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