現在、月給「30万円」です。仕事を辞めた場合、「失業手当」はどのくらいもらえますか?
配信日: 2025.03.24

しかし、いくら受け取れるのか分からないと、仕事を辞めた後の計画に支障が出る可能性があります。
そこで本記事では、「『失業手当』とはどのようなものか?」「月給30万円の方が仕事を辞めた場合、失業手当はいくらもらえるか?」について解説します。仕事を辞めようかとお考えの方だけでなく、雇用保険に加入している方全員に知っていただきたい内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
「失業手当」とはどのようなものか?
失業手当とは、雇用保険の基本手当のことをいい、雇用保険の被保険者がさまざまな理由により離職した際に支給される手当のことです。失業手当の目的は、失業中(再就職するまで)の生活を支援することです。
このため、失業手当を受給するには以下の要件を満たす必要があります。
・「失業の状態」にあること
・離職日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
「失業の状態」とは、ハローワークで求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、就職できない状態のことをいいます。仕事を辞めて就職する意思がない場合や、病気・けがのためすぐには就職できない場合などは「失業の状態」に該当しないため、失業手当を受給することはできません。
月給30万円の方が仕事を辞めた場合、失業手当はいくらもらえるか?
受け取れる失業手当の額は、以下のように計算します。
・失業手当の額 = 基本手当日額 × 所定給付日数
「基本手当日額」は、原則として離職した日の直前の6ヶ月に支払われた賃金(給料)の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳から64歳については45~80%)となっており、年齢によって上限額が異なります。
例えば、現時点(令和7年2月)で離職した日の直前6ヶ月間の月給が30万円だった場合、基本手当日額は以下のようになります。
・離職時の年齢が29歳以下:6102円
・離職時の年齢が30~44歳:6102円
・離職時の年齢が45~59歳:6102円
・離職時の年齢が60~64歳:5096円
「所定給付日数」は、離職理由や年齢・被保険者であった期間・就職困難者かどうかによって異なります。具体的な日数は、図表1をご参照ください。
図表1
※出典:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」
「一般の離職者」とは、「障害者等の就職困難者」「倒産、解雇等による離職者」に該当しない方のことをいい、自己都合により退職した方などがこれに該当します。
「障害者等の就職困難者」とは、身体・精神などに障害を負うなど、就職が困難である方をいい、身体障害者・知的障害者・社会的事情により就職が著しく阻害されている方などがこれに該当します。
「倒産、解雇等による離職者」とは、倒産などにより離職した方・解雇などにより離職した方・特定の理由により離職した方の一部のことをいい、会社都合により退職した方などがこれに該当します。
例えば、月給30万円の方が、30歳(被保険者であった期間が10年未満)で自己都合により退職をした場合、受け取れる失業手当の金額は以下のように計算します。
・基本手当日額6102円 × 所定給付日数90日 = 失業手当の額54万9180円
ただし、失業手当は離職理由に関わらず7日間の待期期間があり、自己都合による退職の場合はさらに1~3ヶ月間(退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1ヶ月、同年3月31日以前である場合は原則2ヶ月。
ただし、退職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合は3ヶ月)の給付制限期間があります。つまり、自己都合により退職をした場合、失業手当がすぐには支給されませんので注意が必要です。
まとめ
本記事では、「『失業手当』とはどのようなものか?」「月給30万円の方が仕事を辞めた場合、失業手当はいくらもらえるか?」について解説しました。まとめると以下のようになります。
・「失業手当」は雇用保険の基本手当のことであり、失業中の生活を支えるためのものである
・月給30万円の方が、30歳(被保険者であった期間が10年未満)で自己都合により退職をした場合、(令和7年2月時点における計算では)受け取れる失業手当は54万9180円である
また、ポイントをまとめると以下のようになります。
・失業手当を受け取るためには要件を満たす必要がある
・失業手当の額は「直近6ヶ月間の月給」「離職理由」「年齢」「被保険者であった期間」「就職困難者かどうか」によって異なる
・失業手当には「待期期間」「給付制限期間」がある
自分で「仕事を辞める」と言わなくても、会社の都合などにより「失業の状態」になる可能性はあります。雇用保険は、むしろそういった方(離職理由が自己都合でない方)をより手厚く守ってくれる制度です。当面離職する予定がない方にも、本記事の内容はぜひ知っておいていただきたいものです。
出典
厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス 基本手当について
厚生労働省 雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和6年8月1日から~
厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス 基本手当の所定給付日数
厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス よくあるご質問(雇用保険について)
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー