【令和7年4月から】自己都合退職の「給付制限」が緩和! 今後は「加入対象者」も拡大するって本当?“雇用保険制度”の改正について解説
転職を目指す人にとって、再就職先を見つけるまでの基本手当や再就職が決まった際の再就職手当は大きな支えとなる給付です。
しかし、令和7年3月までは自己都合による退職の場合、基本手当が給付されない「給付制限期間」が2ヶ月あり、その間は無収入になるといった問題点があったのです。
そこで令和7年4月から制度が改正され、制限期間が原則1ヶ月に短縮されることになりました。また、随時雇用保険が拡大され、令和10年からは雇用保険の対象者も拡大される予定です。
本記事では、雇用保険制度の改正について解説していきます。
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自己都合退職の給付制限が緩和
今回の改正では、「自己都合退職者の給付制限」が見直されます。離職した場合にハローワークにて求職の申請ほか必要な手続きを進めていくと、基本手当を受給することが可能です。しかし、令和7年3月までは自己都合によって退職した労働者は2ヶ月間の給付制限期間が設けられていました。
給付制限期間は基本手当を受給できないので収入が2ヶ月間なくなってしまい、日々の生活について不安になる点が問題視されていました。
そこで、今回の改正で「原則として給付制限期間を1ヶ月に変更」し、さらには「教育訓練を自ら行った場合は給付制限を解除」することになります。これによって離職者は、教育訓練を自ら行うことですぐに基本手当の給付が始まるので、収入の不安なく再就職についての活動が可能となることが期待されています。
令和10年からは加入対象者が拡大
令和6年に決定した雇用保険制度の一部改正の中には、雇用保険の対象者の拡大もあります。雇用保険制度の加入要件は「1週間の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがあること」の2つです。そのため、例えば週15時間勤務の労働者は雇用保険に加入することができませんでした。
しかし、令和10年10月からは「1週間の所定労働時間が10時間以上」に変更されます。このことによって雇用保険に加入できる労働者が増え、これまで対象とならなかった給付を受けることが可能です。例えば、週15時間の労働者も10時間以上の所定労働時間があるので、今後は雇用保険の対象となります。
雇用保険の対象となると、基本手当や再就職手当、育児休業給付、介護休業給付などの給付を受けられるようになります。雇用労働者の働き方や生計維持のあり方が多様化していることから、雇用のセーフティネットを拡大する必要があるとして今回の改正に至ったようです。
雇用保険制度の改正に注視しましょう
現在の雇用環境は大きく変わり、転職をする人も多くなっています。このような雇用環境の変化に伴い、雇用保険制度も大きく変える必要性がでてきました。その中で、令和7年4月から給付制限期間が緩和されます。
給付制限期間は自ら教育訓練を行うことで解除されるので、給付をすぐに受けることが可能です。また、教育訓練を行わなかった場合でも給付制限期間が1ヶ月に短縮されるので、休職中に収入がなくなってしまう不安が解消されます。
また、令和10年からは雇用保険の対象者が拡大される予定です。これまで対象とならなかった10時間以上の短時間労働者も雇用保険の対象となります。雇用保険制度は労働者にとって関わりのある制度なので、今後も改正の内容について注視していきましょう。
出典
厚生労働省 雇用保険制度の概要
厚生労働省 Q&A~事業主の皆様へ~
厚生労働省 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー