病気がちの母を抱える我が家は、毎月「高額療養費」を申請しています。仮に「制度見直し」になった場合、「自己負担額」はどのくらい高くなりそうですか…?

配信日: 2025.04.26 更新日: 2025.07.01
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病気がちの母を抱える我が家は、毎月「高額療養費」を申請しています。仮に「制度見直し」になった場合、「自己負担額」はどのくらい高くなりそうですか…?
「高額療養費制度(高額医療費制度)」は、病気やけがなどでかかった医療費の家計への負担を抑えるために設けられている制度です。1ヶ月でかかった医療費が「自己負担上限額」を超えたとき、超えた分の金額が払い戻されます。
 
治療のため、「高額療養費制度」を利用している人もいるでしょう。「高額療養費制度」は、政府によって見直しが議論されています。では、制度が見直されることになった場合、「自己負担額」はどの程度高くなるのでしょうか。この記事では、「高額療養費制度の見直し」が決定した際の「自己負担額」について解説します。
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「高額療養費」における「自己負担額」の議論が進んでいる

政府は、令和7年度予算案に「高額療養費制度の見直し」を盛り込んでおり、「自己負担額」の引き上げに関する議論が進められています。2025年8月には引き上げが予定されていたものの、与野党からさらなる見直しを要求する意見が出たため、引き上げは見送られることになりました。
 
2026年8月以降に予定していた見直しとともに、今年8月の引き上げを再検討し、今年の秋までには結論を出す流れとなっています。
 

「高額療養費制度の見直し」の具体的な引き上げ幅

財務省が公表した「令和7年度社会保障関係予算のポイント」によると、前回の見直しから平均給与が約9.5%〜約12%の伸び率になったことを考慮したうえで、それぞれ所得の区分を細分化し、区分ごとに「自己負担上限額」の引き上げ幅を設定しています。

●住民税非課税:+2.7%
●~年収約370万円:+5%
●年収約370万円〜770万円:+10%
●年収約770万円〜1160万円:+12.5%
●年収約1160万円以上:+15%

 

「高額療養費制度の見直し」が決定した場合の「自己負担額」はいくら高くなる?

年収が約370万円〜約770万円までの70歳以上で、自己負担割合が3割、100万円の医療費が発生した場合を例としましょう。以下の計算式により、この条件における「自己負担上限額」は8万7430円となります。
 
8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円
   
上記と同じ条件で制度が見直されると、引き上げ幅が+10%されるため、「自己負担上限額」は以下の計算式により9万5260円となります。見直し前の金額よりも、7830円負担が増加すると判断できるでしょう。
 
8万8200円+(100万円-29万4000円)×1%=9万5260円
 

「高額療養費」の「自己負担額」は今後の動向に注視しよう

2017年(平成29年)の8月、2018年(平成30年)の8月と、「高額療養費制度」の「自己負担限度額」は段階的に引き上げられてきました。また、2021年(令和3年)には「マイナ保険証」の運用が始まり、限度額適用認定証がなくても手続きを可能にする変更が加えられています。
 
こういった流れを踏まえると、「高額療養費制度」に関しては「自己負担額」を含め、今後の動向に注視しておくべきといえるでしょう。
 

まとめ

「高額療養費制度」は政府によって見直しが議論されており、2025年8月には「自己負担額」の引き上げが予定されていましたが、与野党からの意見で見直しはいったん見送られることになりました。しかし、2025年の秋には結論を出すとされています。
 
仮に「自己負担額」が引き上げられた場合、年収や自己負担割合によっても変わりますが、「自己負担上限額」は従来よりも高くなると見ていいでしょう。段階的に「自己負担額」が引き上げられてきた制度でもあるため、今後の家計への負担を考え、どういった動きになるのか注視しておきましょう。
 

出典

財務省 社会保障関係予算 令和7年度社会保障関係予算のポイント(18ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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