【2025年4月から】「失業給付制度」が改良された! 知っておきたい“変更点”とは?「月収25万円」の会社員で受給額をシミュレーション
今回解説する失業給付制度は、次の職場が決まらず生活に困る人に役立つ制度です。2025年4月からの改良点を中心に制度内容を紹介します。
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
失業給付と給付制限について
失業給付(失業保険)とは、労働者が失業した場合や雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、失業者の生活を守るために行われる給付です。
この失業給付は失業後すぐに受給できるわけではなく「給付制限」があります。自己都合退職などの場合には、離職後一定期間は失業給付を受けることができません。
2025年4月から給付制限期間が短縮
前項で紹介した「給付制限」の期間は、前制度では退職後「2ヶ月」と長い期間設定が行われていました。しかし2025年4月からは制限期間が「2ヶ月」から「1ヶ月」に変更されました。
失業給付がより早く受給できるように改良されたため、非常によい制度変更でしょう。これまで以上に転職しやすい環境が整ったといえます。
教育訓練受講で給付制限を解除することも可能
前項までで触れた「給付制限」についてですが、制限自体を解除することも可能です。
2025年4月からは、離職期間中もしくは離職日前1年以内に、給付対象となる「教育訓練」を受講した人は、給付制限期間が解除されるルールが新設されています。
今までとは全く異なった業界や業種に挑戦する人の助けとなる素晴らしい制度といえます。教育訓練を受講する人はぜひ押さえておきたい内容です。
失業給付を受ける際の注意点
失業給付は離職した人が無条件で受けられるものではありません。給付を受けるためには、「失業認定申告書」に求職活動実績を記載し、ハローワークに報告する必要があります。求職活動実績を残すために、実際に求人へ応募する・ハローワークにて職業紹介を受けるなどの活動を行うとよいでしょう。
失業給付にて受給できる金額の計算
詳しくはハローワークにて計算をしてもらう必要があるという前提ですが、失業給付の受給金額は「基本手当日額」と「給付日数」から計算することが可能です。
「基本手当日額」とは、離職日の直前「6ヶ月」に毎月支払われていた「賞与を除いた賃金」の合計金額を180で割って算出した「賃金日額」の「45~80%」です。なお、「45~80%」の給付率については年齢や賃金日額により変化します。
また「給付日数」については、1ヶ月間に受給できる金額は最大28日分(4週間分)という前提のもと計算されます。そのため月単位の受給金額は「基本手当日額×28日」で算出することになることに留意が必要です。
失業給付の受給金額をシミュレーション
ここからは月収25万円の元会社員が失業給付を受けると仮定してシミュレーションします。
「基本手当日額」=「賃金日額」×「50~80%」
「賃金日額」=月収25万円×6÷180=約8333円
「基本手当日額」=約4166円~約6667円
以上の結果より、月単位での受給金額は約11万6648円~約18万6676円となります。
(前項記載のとおり、1ヶ月間に受給できる金額は最大28日分(4週間分)です)
なお、この結果はあくまでもシミュレーションです。詳細な金額は必ずハローワークで計算してもらいましょう。
まとめ
2025年4月に失業給付制度が改良され、今までより早期に失業給付を受けられるようになり、より安心して再就職先を探すことができる環境が整いました。
「転職して給料を上げたい」と考える人にも非常によい制度変更といえます。ぜひこの機会にジョブチェンジについて積極的に検討してみてください。
出典
厚生労働省 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について
厚生労働省 教育訓練給付制度
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート