退職後に加入する健康保険で迷っています。「任意継続」と「国民健康保険」のどちらが安いですか？
今回は、退職後に選べる2つの健康保険について、それぞれの制度の特徴や仕組みの違い、そして保険料にどんな違いがあるのかを分かりやすくご紹介します。
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「任意継続」とは？
任意継続とは、会社の退職後でも勤務先の健康保険に一定期間のみ加入できる制度です。まずは本制度の特徴や国民健康保険との違いを解説します。
任意継続の特徴
任意継続は、退職者が必要な手続きをおこなうことで、退職後2年を上限として、会社の健康保険に加入できる制度です。
保険料は「退職時の標準報酬月額」に基づいて決定され、保険料の上限が定められています。上限額や計算方法は、加入していた健康保険組合ごとに異なるため、詳細は各組合の公式情報を確認しましょう。なお、保険料は原則2年間は変わりません。
任意継続のメリットには、下記が挙げられます。
●会社独自の給付を受けられる
●扶養家族も在職時の健康保険に加入できる
そのため「会社独自の給付を利用する可能性が高い」「扶養する家族がたくさんいる」という場合にメリットを受けやすいでしょう。
ただし「保険料を全額負担する必要がある」「加入期間は退職後から2年間まで」という点には注意です。任意継続の場合の保険料は、加入期間中は基本的に変わらない仕組みとなっているため、退職後に収入が減ってしまうと、保険料の負担がより重く感じられる可能性があります。
また「資格喪失の前日までに被保険者期間が2ヶ月以上ある」「資格喪失（退職日の翌日）から20日以内に手続きをする」といった条件も要するため、会社に勤務していたからといって誰でも利用できる制度ではないということも理解しておきましょう。
国民健康保険制度との違い
国民健康保険制度とは、ほかの医療保険制度に加入されていないすべての住民を対象とした医療保険制度であり、退職して職場の健康保険から抜けた場合も加入できます。日本は「国民皆保険制度」を採用しており、国内に住所がある人はかならず公的医療保険制度に加入しなければいけません。
任意継続と国民健康保険制度の主な違いは、表1の通りです。
表1
| 項目 | 任意継続 | 国民健康保険 |
|---|---|---|
| 保険料 | ・退職時の標準報酬月額と、その制度の平均額を比較し、低い方を上限として計算（具体的な上限や計算方法は加入していた健康保険組合により異なります）
・会社負担分も含め全額自己負担であり、原則2年間変わらない |
・前年の所得に基づいて算出され、所得によって大幅に変動する可能性がある ・全額自己負担となるが、保険料の減免制度も設けられている |
| 扶養家族の範囲 | ・扶養家族も継続して加入できる | ・家族は、個別に加入する必要がある |
| 加入期間 | ・最長2年間 | ・期間制限なし |
※筆者作成
どちらの制度が適しているかは個々の状況によって異なりますが、任意継続には最長2年という加入期間の制限があるため、その後は国民健康保険など、別の保険制度へ切り替える必要がある点もあらかじめ把握しておくことが大切です。
保険料はどちらが安い？
「どちらを選んだ方が保険料は安くなるのか」については人によって異なり、具体的には「所得」と「扶養家族の範囲」が大きく影響します。
退職後に大幅な減収が予想される場合は、国民健康保険の方が安くなる場合があります。任意継続は保険料が一定のため、どれだけ所得が減少しようと保険料に影響されることはありません。
しかし、国民健康保険には扶養家族という概念がないため、扶養家族が多い場合は任意継続を選んだ方が安く済みます。また、国民健康保険は、前年の所得に基づいて保険料を計算するため、退職後すぐの保険料は高くなる方もいるでしょう。
どちらにもメリット、デメリットがあるため、両者を比較して金銭的負担の軽い方を選ぶことをおすすめします。
2つの保険料の差は加入者の状況次第
「任意継続と国民健康保険のどちらが安いのか？」は所得と扶養家族の範囲が大きく影響し、詳細な金額は人によって異なります。
保険料を安くしたいと考える人は、それぞれの特徴を正しく理解し、両者を比較して自分に合った制度を選択することが大切です。
出典
全国健康保険協会 加入期間について Q1：任意継続被保険者の資格取得日はいつですか？また、加入期間はどのくらいですか？
全国健康保険協会 任意継続の加入条件について Q1：健康保険の任意継続に加入するための条件はどのようなものですか？
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
