Xで「#OTC類似薬保険適用外し反対」が一時トレンドに!「死活問題」「保険料払ってるのに…」アトピー用の薬はどれだけの“負担増”になる? 政策決定の経緯もあわせて確認

配信日: 2025.06.28 更新日: 2025.07.01
この記事は約 4 分で読めます。
Xで「#OTC類似薬保険適用外し反対」が一時トレンドに!「死活問題」「保険料払ってるのに…」アトピー用の薬はどれだけの“負担増”になる? 政策決定の経緯もあわせて確認
2025年6月に、X(旧Twitter)で「#OTC類似薬保険適用外し反対」が一時トレンドになりました。この背景には、2026年度から実施予定とされるOTC類似薬の保険適用除外政策があります。特にアトピー性皮膚炎の患者やその家族からの反対の声が目立っており、薬代が大幅に値上がりすることへの不安が広がっています。
 
それでは、アトピーの薬はどれだけ負担増になるのでしょうか。その他の保険適用が外れる薬についても調べてみました。
藤澤環奈

ファイナンシャルプランナー2級技能士・夫婦カウンセラー

OTC類似薬の保険適用除外とは?

OTC類似薬とは、市販薬(OTC医薬品)と同じ有効成分や効果を持つ処方薬のことです。現在、これらの薬は健康保険が適用され患者の自己負担は3割程度となっています。しかし、政府は医療費削減を目的として、OTC類似薬を保険適用の対象から除外する方針を決定しました。
 
この政策により、対象となる薬は患者が全額自己負担することになります。つまり、これまで保険で安く処方してもらえた薬が、市販薬価格もしくは処方薬の満額で購入することになるのです。
 

政策決定の経緯

2025年6月に自民党・公明党・日本維新の会の3党が合意し、「骨太の方針2025」に盛り込まれました。年間約3500億円の医療費削減効果を見込み、2026年度から実施される予定です。
 
対象は28の有効成分で、主に保湿剤のヘパリノイド、制酸剤の酸化マグネシウム、アレルギー薬のフェキソフェナジンなどが含まれます。
 

SNSで広がった反対の声

「#OTC類似薬保険適用外し反対」のハッシュタグは、2025年6月11日から13日頃にかけてX上で拡散されました。
 
SNSでは「ぜんそくやアレルギー薬が保険外になれば、命に関わる」といった内容の投稿や、「アトピー持ちと鼻炎持ちはどう生きていけと」という切実な声が注目を集めました。
 
私もぜんそく、アレルギー持ちなので人ごととは思えません。
 
特にアトピー性皮膚炎や慢性疾患を抱える患者からの反発が強く、治療継続への不安を訴える投稿が多数見られました。6月19日時点で反対を求める署名には8万5967人が賛同するなど、大きな社会的関心を集めています。
 

アトピー薬の負担はどれだけ増える?

アトピー性皮膚炎の治療に欠かせない薬剤が、この政策の対象となる可能性が高く、患者負担の大幅な増加が懸念されています。
 

ヒルドイド(保湿剤)の負担増

アトピー治療の基本となる保湿剤「ヒルドイド」は、現在保険適用で1グラムあたり約3円、月額約600円(200グラム)の負担です。しかし、保険適用除外後は、同じ量で月2500円以上の負担となり、年間で約3万円の負担増となります。
 

リンデロン軟膏(ステロイド外用薬)の負担増

炎症抑制に使用される「リンデロン軟膏」は、現在月約510円(100グラム)の患者負担ですが、保険適用除外後は月1690円となる可能性があります。これは年間約1万4000円の負担増に相当します。
 

中等度から重度患者への深刻な影響

保湿剤を月300グラム、ステロイド外用薬を月100グラム使用する中等度から重度のアトピー患者の場合、現在の月1200円の負担が月4000円に跳ね上がります。年間では約3万3600円もの負担増となり、多くの患者にとって治療継続が困難になる可能性があります。
 

そのほかの薬剤への影響

アトピー以外でも、さまざまな薬剤で大幅な負担増が予想されます。慢性的な痛みに使用される「ロキソニンテープ」は、現在の1枚約3円から13円へ値上がりとなります。
 
アレルギー薬の「アレジオン」は 現在1錠あたり6円ですが22円へ、去痰剤の「ムコダイン」は1錠約3円から10円へと上昇する見込みです。
 
複数の薬剤を使用する慢性疾患患者では、年間10万円を超える負担増となるケースも想定され、治療の継続が経済的に困難になる患者が続出する恐れがあります。
 

今後の見通し

多くの反対意見があったにもかかわらず、政府は2025年6月にこの政策を正式に決定しました。厚生労働省が具体的にどの薬を対象にするかを決めて、2026年4月から実施する予定です。
 
政府は子どもや収入の少ない世帯、病気の治療を続けている患者への配慮をすると言っていますが、どのような支援をするのかはまだ決まっていません。
 

まとめ

OTC類似薬の保険適用除外は、アトピー性皮膚炎をはじめとする慢性疾患患者に深刻な経済的負担をもたらす政策と言えるでしょう。SNSでの反対運動や医療関係者からの警告は、この政策が持つ潜在的な危険性を浮き彫りにしています。
 
特にアトピー患者にとっては、年間数十万円の負担増により治療継続が困難になる可能性があり、症状悪化や長期的な医療費増加による家計の圧迫を招く恐れもあります。
 
政府は財政面での効果を重視していますが、患者の健康と生活の質への影響を十分に考慮した慎重な検討を求めたいです。患者や医療関係者の声に耳を傾け、真に必要な支援策を検討することが重要ではないでしょうか。
 

出典

内閣府 経済財政運営と改革の基本方針2025
全国保険医団体連合会 【談話】雇用・暮らし守る方策なく、医療・社会保障抑制を続ける 「骨太の方針2025」に抗議する
 
執筆者 : 藤澤環奈
ファイナンシャルプランナー2級技能士・夫婦カウンセラー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問