健康保険から「埋葬料」の給付があると聞きました。いくらくらい出るのでしょうか?
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
給付金の主な種類
葬儀を行った際に支給される給付金には、主に2種類あります。国民健康保険の場合は「葬祭費」、健康保険の場合の「埋葬料」または「埋葬費」です。
まず、故人が加入していた保険が、国民健康保険なのか、健康保険なのかを確認しましょう。
国民健康保険加入者の「葬祭費」
国民健康保険に加入していた人が亡くなった場合、葬儀を行った喪主に対して「葬祭費」が支給されます。葬祭費の支給額は、故人が加入していた市区町村によって異なります。
ちなみに、東京都の場合、23区は一律7万円、八王子市や町田市などは5万円です。大阪府でも、大阪市、堺市などは5万円です。同じ都道府県でも差がある場合もありますので、確認が必要です。
葬祭費の申請は、故人が加入していた国民健康保険を加入していた市区町村役場で行います。申請期限は、葬儀を行った日の翌日から2年以内となりますので、注意が必要です。
必要書類は、国民健康保険葬祭費請求書、亡くなった人の保険証、喪主の身分証明書(マイナンバーカードなど)、申請者が喪主であることを確認できるもの(葬儀費用の領収書など)、喪主名義の金融機関の預金通帳などです。申請後、葬祭費は通常1~2ヶ月以内に指定した口座に振り込まれます。
なお、自治体によって異なる場合がありますので、事前に市区町村役場の窓口やホームページで確認しておきましょう。
また葬祭費は非課税所得で、葬儀執行者が実際に支出した葬儀に関する費用に対して支給されます。例えば、「火葬・埋葬費用」「通夜・告別式の費用」「ひつぎ・遺体搬送・納骨関連費用」などです。
健康保険加入者の「埋葬料」または「埋葬費」
健康保険に加入していた人が亡くなった場合、葬儀を行った人に「埋葬料」または「埋葬費」が支給されます。
埋葬料は、故人が健康保険の加入者だった場合に、喪主に支払われる給付金で、金額は5万円です。また、扶養していた家族が亡くなった場合は、加入者本人に家族埋葬費が給付されます。給付金額は、埋葬料と同じ5万円です。
埋葬料も家族埋葬料も、加入者によって生計が維持されていることが条件となります。
故人により生計を維持されていた遺族がいない場合、実際に埋葬を行った人に対し「埋葬費」が給付されます。埋葬費は5万円を上限に、実際に埋葬した費用が支給されます。
また、加入している健康保険にもよりますが、独自の制度として「付加給付(埋葬料付加金)」が別途支給される場合もあります。申請先は健康保険組合または協会けんぽの都道府県支部で、申請期限は亡くなった日の翌日から2年以内です。
必要書類は、埋葬料(埋葬費)支給申請書、死亡診断書または火葬許可証の写し、埋葬料の場合は生計維持を確認できる書類、埋葬費の場合は埋葬に要した費用の領収書、などといった書類を提出することになります。
なお、埋葬料を申請してから振り込まれるまでの期間は、通常2~3週間程度です。詳細は、各種健康保険組合に問い合わせをしましょう。なお、埋葬料や埋葬費は非課税所得で、霊きゅう車代、霊きゅう運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶への謝礼など、実際に埋葬に要した費用が対象になります。
労災や交通事故など第三者行為による死亡では、国民健康保険や健康保険の給付元や給付対象が通常と異なりますので、注意が必要です。国民健康保険や健康保険は、「病気やけがが業務外の原因で生じた場合」に補償する仕組みです。
「業務中の死亡」は、労災保険(労働者災害補償保険)から給付され、交通事故等の第三者加害行為は、原則として加害者が賠償責任を負い、保険から給付(制限あり)または求償されます。
まとめ
葬祭費や埋葬料・埋葬費など葬儀の公的給付金は、喪主の大きな支えとなります。葬儀を終えたらすみやかに、市区町村役場の専門窓口に、忘れずに請求しましょう。
出典
杉並区 亡くなったとき(葬祭費)
八王子市 葬祭費について
町田市 葬祭費
全国健康保険協会(協会けんぽ) ご本人・ご家族が亡くなったとき
執筆者 : 水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー