【実録】対向車の“逆走”で車が全損→夫と「10:0の事故だし、新車に買い替えられるね!」話していたら、保険金は「購入額じゃなく時価」なので、全然足りませんでした…万一に備えるためのポイントも解説

配信日: 2025.07.05

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【実録】対向車の“逆走”で車が全損→夫と「10:0の事故だし、新車に買い替えられるね!」話していたら、保険金は「購入額じゃなく時価」なので、全然足りませんでした…万一に備えるためのポイントも解説
「10:0の事故なら、車の費用が全額補償される」と思っている人もいるのではないでしょうか。しかし実際には、保険金は「購入価格」ではなく「時価」で決まるため、思ったより少ない金額しか受け取れないケースもあります。
 
本記事では、実際に筆者が経験した事故の経験をもとに、時価の落とし穴や、万一の事態に備えるための保険の見直しポイントを解説します。
古澤綾

FP2級

筆者が経験した「10:0」の交通事故

ある日、橋の上を走行中、「対向車がふらついているな」と思っていたら、その車はセンターラインを越えて逆走してきました。ブレーキをかけて停止しましたが、そのまま正面衝突され、車は全損となりました。警察にドライブレコーダーを提出し、保険会社も含め過失割合は「10:0」で、完全に相手の責任と認定されのです。
 
FPとして、「車両保険があっても新車価格の満額が出るわけではない」とは知っていたつもりでした。しかし、実際に受け取った保険金額は約120万円で、同じ車種を新車で買い替えるには180万円ほど不足しそうなため、こちらに過失がなくても手出しが発生してしまう、「時価」の厳しさを実感しました。
 

保険金は「購入額」ではなく「時価」

「10:0の事故なら、相手の保険から全額弁償される」と思っている人は多いかもしれません。しかし、実際に支払われるのは、事故に遭った車の「購入価格」ではなく「時価」です。
 
損害保険会社では、車が全損となった場合、新たな車の購入費用ではなく、「事故時点の時価額」を基に保険金を算定します。
 
「時価」とは、車の年式・走行距離・車種などを基に、中古市場での販売価格などから算出される金額です。筆者の車は8年落ちで、その時価額は約120万円とされました。
 
同車種を新車で買い替えるには、少なくとも300万円近くかかります。このため、180万円ほどの持ち出しになる見込みです。「時価」は、あくまで事故発生時点で全損となった車と同程度の車を手に入れるならこの価格という意味で、再び同じものを買うための金額ではないことに注意が必要です。
 

保険で備えるには? 見直しポイントを紹介

筆者のように「時価でしか出ない」と知っていても、いざというときに買い替え費用がここまで足りないとは思っていない人は多いかもしれません。では、このような不測の事態にはどのように備えればよいのでしょうか?
 
まず見直したいのが、自動車保険の「車両保険」です。相手がいる事故でも、被害者が自分で加入している車両保険を使うことで、時価以上の補償を得られる場合があります。ただし、免責や等級ダウンには注意が必要です。
 
また、「新価特約(新車特約)」や「全損時修理差額費用補償特約」といった、全損時に時価額では不足する金額の上乗せ補償を受けられる特約がある保険も増えています。特に車の年式が古くなると、時価が急激に下がり、補償額も連動して下がります。そのため、高額な車に乗っている人や、買い替え費用に余裕がない人ほど注意が必要です。
 
いざというときに「こんなはずじゃなかった……」とならないために、「事故の相手が払ってくれるから大丈夫」という思い込みをせず、自身の自動車保険の補償内容を見直すことが大切です。
 

まとめ

10:0の事故でも、相手の保険から買い替え費用が全額弁償されるとは限りません。支払われる保険金は購入価格ではなく、年式や走行距離などから算出される「時価」が基準になります。
 
筆者の場合、実際の保険金額は約120万円でしたが、同じ車を新車で買い直すには180万円ほど不足しました。万一の事態に備えて、自身の車両保険の内容や特約を確認しておくことが大切です。
 
執筆者 : 古澤綾
FP2級

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