会社を定年退職したら、「介護保険料が倍」になっていました…65歳からの負担増はどれくらい?

配信日: 2025.07.04
この記事は約 3 分で読めます。
会社を定年退職したら、「介護保険料が倍」になっていました…65歳からの負担増はどれくらい?
定年退職後、届いた介護保険料の通知を見て「こんなに高かったっけ?」と驚いた経験はありませんか。65歳を境に、保険料の算出方法や支払い方法が大きく変わり、負担が増えるケースもあります。
 
本記事では、負担が増える仕組みや具体的な金額、今からできる備えについて、わかりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

なぜ65歳で介護保険料が「倍」になるの?

介護保険料は、40歳以上の人すべてが支払う「義務」がありますが、年齢によって加入区分が異なります。65歳以上は「第1号被保険者」、40歳~64歳は「第2号被保険者」で、区分によって介護保険料や支払い方も異なります。
 
会社員などの現役世代(40歳~64歳)は、健康保険料に含まれる形で、給料から天引きされています。このときの保険料は会社と折半されており、本人が負担しているのは全体の半分です。
 
しかし、65歳になると、介護保険料は「第2号被保険者」から「第1号被保険者」に区分され、健康保険とは別に自治体へ納付します。これにより、保険料は全額自己負担となるため、「かなり増えた」と感じる人が多いのです。
 

どれくらい上がる? 金額を確認

第1号被保険者の保険料は、所得や自治体の介護サービス利用状況によって「所得段階」が設定されており、支払額は大きく差が出ます。厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」によると、令和6年度~令和8年度の65歳以上の方の保険料は、全国平均で月額6225円です。
 
では、横浜市に居住していた場合の、介護保険料を比較してみましょう。
 

【会社員時代(64歳以下、協会けんぽに加入している場合)】

・標準報酬月額:37万5000円
・介護保険料率:1.59%(令和7年3月分から)
・1ヶ月あたりの介護保険料:37万5000円×1.59%×1/2(会社と折半)=約2981円

 

【定年後(65歳以上)】

・年金のみで年収150万円
・横浜市の年間介護保険料:8万7380円
・1ヶ月あたりの介護保険料:8万7380円÷12=約7282円

 
このように、倍以上になるケースも珍しくありません。65歳以上も働き続けて年金+収入がある場合は、さらに高い所得段階に区分され、月額1万円以上になることもあります。
 

支払い方法も変わる! 納付のタイミングに注意

65歳になると、支払い方法も変わります。以前は給料からの天引きでしたが、65歳からは自治体による「特別徴収」または「普通徴収」に分かれます。
 

・公的年金が年間18万円以上ある場合:年金から自動的に天引き(特別徴収)
・公的年金が年間18万円以下、または年度途中で65歳になった場合など:納付書または口座振替で支払う(普通徴収)

 
つまり、年金受給額が年間18万円以上でも、年度途中で65歳になった場合、年金から天引きが開始されるまでは、自分で納付が必要になります。実際に納付書を見て、その金額に驚く方も少なくありません。
 

将来に備えるためにできることとは?

定年後の生活を安定させるためには、介護保険料の負担増を事前に知り、備えておくことが重要です。
 
・収入と支出の見直し
退職後に年金収入だけで暮らす場合、保険料の支払いが家計に与える影響は大きくなります。早めに支出計画を立てましょう。
 
・新NISAやiDeCoの活用
定年前に積立投資を始めておけば、将来の保険料支払いに充てられる資金を準備できます。
 
・自治体の減免制度を確認
収入が減少した人や災害の被害を受けた人など、要件に該当すれば保険料の減免が受けられる可能性があります。
 

まとめ:負担は増えるが、知っていれば備えられる

65歳になると介護保険料の仕組みが変わり、負担が倍以上に増えるケースもあります。これは制度上の仕組みによるものであり、誰もが通る道です。
 
しかし、事前に「どうして増えるのか」「どのくらい増えるのか」を知っていれば、驚かずに済みます。資金準備や自治体の制度を活用すれば、無理なく対応することも可能です。定年後の生活に向けて、今から備えておくことで、安心した老後のスタートを切りましょう。
 

出典

厚生労働省 第9期計画期間における介護保険の第1保険料について
全国健康保険協会 協会けんぽの介護保険料率について
横浜市役所 保険料について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問