娘が社会人になって3ヶ月、まだ「親の扶養のまま」でした…。健康保険の切り替えを忘れると何が起きるのでしょうか?
配信日: 2025.07.05

今回は、健康保険の切り替えを忘れた場合のリスクと、今からできる対応についてわかりやすく解説します。

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社会人になったら健康保険はどう変わる?
就職して社会人になると、原則として会社の健康保険に加入することになります。これは法律で定められており、勤務先が健康保険組合や協会けんぽを通じて手続きを進めます。
一方で、学生時代などに親の健康保険の「扶養家族」として保険証を持っていた場合は、会社の健康保険に加入した時点で「扶養から外れる」必要があります。この切り替えを忘れ、親の健康保険の扶養に残ったままだと、「本来資格がない保険証」を誤って使ってしまうリスクがあります。
親の扶養のままだと何が起きる? 放置のリスクとは
切り替えを忘れている状態では、次のようなトラブルが起きる可能性があります。
医療費の返還が求められることも
会社の健康保険に加入した時点で、親の扶養からは外れるべき状態になります。しかし、手続きをせずに親の保険証を使って医療機関を受診すると、本来の資格がない状態で使用したことになり、健康保険組合が負担した医療費分を、後から組合に返還するよう求められます。
税制上の扶養控除に影響する場合も
健康保険の扶養とは別に、所得税や住民税の「扶養控除」という制度があります。これは、収入が一定以下の家族を対象に、税金の軽減が受けられる制度です。
子どもが就職して収入が増え、扶養控除の条件(年間所得58万円以下など)を満たさなくなった場合は、税制上の扶養からも外れる必要があります。これに気づかず扶養控除を受け続けると、後で修正申告や追徴課税が発生するため注意が必要です。
健康保険の扶養と税制上の扶養は別の制度ですが、どちらもタイミングを見て適切に切り替えることが大切です。
健康保険の切り替え手続きと確認ポイント
手続きはそれほど複雑ではありません。以下のように進めましょう。
1.子どもの勤務先での健康保険加入を確認する
通常は入社と同時に自動的に手続きされています。
2.親の勤務先に「被扶養者異動届」を提出する
勤務先の人事・総務などに連絡し、子どもが就職して扶養から外れることを伝えましょう。
3.必要書類を提出する
古い保険証や資格確認書の返却が必要です。また、子どもの保険証のコピーが求められることがあります。
仮に受診履歴があっても、正直に状況を伝えて適切に対応すれば、大きなトラブルに発展することは通常ありません。ただし、資格を喪失している保険証で受診した医療費が返還対象になるため、請求額が高額になることもあります。早めに手続きを行いましょう。
まとめ:切り替えを忘れていても、今からの対応が大切
子どもが社会人になると、健康保険も家庭から会社へ切り替わります。親の扶養に入ったままだと、医療費の返還や税務処理などで思わぬ負担が生じることがあります。
まずは保険証や勤務先の手続きを確認し、必要であれば親の勤務先に連絡して手続きを進めましょう。社会人生活を安心してスタートできるよう、親としてのサポートも大切な役割です。
出典
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー