「マイナ保険証」を持たない高齢の母はいまだに「紙の保険証」で受診しています。7月末で有効期限が切れるのですが、「資格確認書」の申請は必要ですか?
本記事では、「資格確認書」の申請要否や、マイナ保険証に移行した場合のメリット、「マイナ保険証」と「資格確認書」の違いについて解説します。
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目次
「マイナ保険証」がない方には、従来の健康保険証の有効期限内に申請なしで「資格確認書」が交付される
厚生労働省によると、2024年12月2日より健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードの健康保険証利用、いわゆる「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行しています。
「マイナ保険証」を持っていない方は、「資格確認書」を使用することで引き続き保険診療を受けることが可能です。
対象の方には、申請がなくても無償で「資格確認書」が交付されます。同じく厚生労働省によると、申請不要で交付される対象者は、「マイナンバーカードを取得していない方」、「マイナンバーカードを取得しているが健康保険証の利用登録をしていない方」、「後期高齢者医療制度に加入している方や新たに加入する方」などです。
マイナ保険証を保有していない方については、従来の健康保険証の有効期限内に無償で申請によらず「資格確認書」が交付されるそうです。
そのため、今回の事例における「マイナ保険証」を持たない高齢の母親の場合、申請がなくても「資格確認書」は交付されるでしょう。
そもそも「マイナ保険証」と「資格確認書」はなにが違う?
「マイナ保険証」と「資格確認書」は、どちらも保険診療を受けられる証明(資格確認)として使用することが可能です。しかし、仕組みや利便性などには表1のような違いがあります。
表1
| マイナ保険証 | 資格確認書 | |
|---|---|---|
| 対象者 | マイナンバーカードを持っていて 健康保険証利用登録をした方 |
・マイナンバーカードを持っていない方 ・マイナンバーカードを持っていて 健康保険証利用登録をしていない方 ・申請して交付を受けた方 など |
| 利用方法 | 医療機関や薬局にある顔認証付きカードリーダーで 本人確認、各種情報提供の同意選択をする |
受付や窓口に提示 |
| 資格の確認方法 | オンラインで確認 | 医療機関などが手作業で確認 |
| 利便性 | 手続きが簡単で効率的 | 受付や窓口での確認作業が発生 |
| 有効期限 | マイナンバーカードの電子証明書の有効期限まで (発行日から5回目の誕生日まで) |
最長5年で保険者が設定 |
※筆者作成
従来の健康保険証の有効期限までに「マイナ保険証」を登録するのもひとつの選択
厚生労働省によれば、「マイナ保険証」には以下のように、さまざまなメリットがあります。
・より良い医療を受けられる
「マイナ保険証」には、以前処方された薬や特定健診などの情報が紐付けられています。そのため、情報提供に同意すれば医師や薬剤師が過去の情報をスムーズに確認・共有できるため、データに基づいてより良い医療を受けられるでしょう。
・高額療養費の手続きが不要
高額療養費制度により、上限額を超えて支払った医療費は申請することで後日支給されます。通常、一度窓口で全額支払ったあと、支給申請の手続きをとるか、事前に「限度額適用認定証」を申請することで、窓口での負担を上限額までに抑えることができます。
しかし、「マイナ保険証」を使って保険診療を受ければ、手続き不要で上限額以上の医療費を払わずに済みます。
・医療費控除の手続きが簡単に
医療費控除を受けるためには、医療費の領収書などを参考に「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告の時に添付する必要があります。
しかし「マイナ保険証」があれば、マイナポータル上で医療費通知情報の管理ができるため、領収書の保管・管理などの作業も必要なくなります。さらにe-Taxと連携することで、確定申告書作成時のデータを自動入力することも可能です。
まとめ
対象者に該当する場合、「資格確認書」は基本的に申請する必要がなく、無償で交付されます。しかし、「マイナ保険証」にはさまざまなメリットもあり、移行したほうが便利になるケースもあるかもしれません。
とはいえ、「マイナ保険証」の移行はあくまで任意とされています。「マイナ保険証」と「資格確認書」、どちらでも資格確認はできるため、自分に合った方法を選択するのがよいでしょう。
出典
厚生労働省 資格確認書について(マイナ保険証を使わない場合の受診方法)
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用について
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー