60代の母が、マイナ保険証の「解除」を考えているそうです。受診・薬局で困ること、損することはあるのでしょうか?
とくにシステム上のトラブルや個人情報漏洩への不安から、マイナ保険証に抵抗感を抱くケースも少なくありません。では、マイナ保険証を解除すると、医療機関や薬局で不便になることがあるのでしょうか?
本記事では、マイナ保険証の解除が医療や手続き面に与える影響、そして利用を継続することによるメリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。
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マイナ保険証の「解除」とは? 仕組みを簡単に解説
マイナ保険証とは、マイナンバーカードに健康保険証の機能を紐づけたもので、2024年12月から従来の健康保険証の新規発行が原則として停止されました。
一方、制度に不安や疑問を感じている人のために、マイナ保険証の「利用登録解除」という選択肢も設けられています。これは、マイナ保険証としての機能を停止する手続きで、解除後は「資格確認書」という紙の証明書を提示して医療機関を受診することになります。
このように、解除しても保険診療が受けられなくなるわけではありませんが、利便性の面ではいくつかの変化があります。
解除後の受診や薬局での対応はどうなる?
マイナ保険証を解除した場合でも、医療機関や薬局で保険診療を受けることは可能です。ただし、以下の点で不便さを感じる場面もあるでしょう。
医療機関での受診
マイナ保険証を使用し、情報提供に同意していれば、保険資格の確認がスムーズなだけでなく、診療情報や薬剤情報の共有が可能になります。これにより、医師が過去の診療歴を踏まえて診察できるため、より適切な治療が期待できます。
解除して資格確認書を使う場合、情報連携は行われず、患者自身が過去の病歴や服薬内容を説明する必要があります。とくに初診時には、伝え漏れがあると治療に影響を及ぼす可能性もあります。
薬局での対応
薬局においても、マイナ保険証を使い、情報提供に同意していれば、他の医療機関で処方された薬の情報が自動で確認でき、飲み合わせなどを薬剤師がチェックしやすくなります。
解除後はこうした情報が共有されないため、服薬履歴の把握は患者自身の申告に頼る必要があります。
マイナ保険証を解除することで損することとは
制度的に見たとき、マイナ保険証を解除することで「損をする」と感じやすい主な点は以下の3つです。
1. 高額療養費制度の簡略化が使えなくなる
マイナ保険証を利用していれば、「限度額適用認定証」の事前申請が不要になります。医療機関で自動的に医療費上限が反映されるため、払いすぎの心配や申請の手間が減ります。
解除すると、医療機関によっては口頭で同意すれば限度額情報が取得できることもありますが、再び従来通りの申請手続きが必要となる場合もあります。
2. 医療費控除の手間が増える
確定申告で医療費控除を申請する際、マイナ保険証を利用していればマイナポータルで医療費情報を自動取得できます。解除後は、医療費の領収書を保管し、明細書を手入力して作成する必要があり、手間がかかりやすくなります。
3. 将来的に再登録の可能性がある
政府は保険証の新規発行を原則停止とし、マイナ保険証の利用を基本とする制度設計を進めています。そのため、将来的に解除した人も再びマイナ保険証への移行を求められる可能性があります。今後の制度変更次第では、再登録や手続きの負担が増えることも考えられます。
まとめ:不安と利便性のバランスで考える
マイナ保険証の解除は個人の自由ですが、解除した場合の影響をきちんと理解しておくことが大切です。医療機関や薬局で診療や処方が受けられなくなるわけではないものの、情報連携の利便性や手続きの簡素化といったメリットは受けられなくなります。
利用にあたって不安を感じることがあっても、正しい情報をもとにメリット・デメリットを整理し、冷静に判断することが大切です。ご家族で話し合いながら、本人が納得のいく形で選択できるようサポートしていきましょう。
出典
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用について
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー