海外へ留学する大学生の子ども。健康保険の「国内居住要件」は満たさないと思いますが、扶養には入れますか?
しかし、留学があくまで一時的な滞在であると認められれば、例外的に国内居住とみなされ、扶養に入れるケースもあります。本記事では「国内居住要件」の基本から、必要な証明書類、注意点まで詳しく解説します。
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目次
健康保険の「国内居住要件」とは?
「国内居住要件」とは、健康保険法の一部改正によって2020年4月より追加された要件です。
健康保険法第三条によると、健康保険の被扶養者となるには「日本国内に住所を有すること(住民票があること)」が求められるようになったため、原則、海外に居住している家族を扶養に入れることはできません。しかし、海外へ一時的に留学する学生の場合は「日本国内に生活の基礎がある」として国内居住要件の例外に該当し、留学中も親の扶養に入ることができます。
なお、国内居住要件の例外に該当するものは、海外留学をする学生以外にも「外国へ赴任する被保険者に同行する人」「就労以外の目的(観光、保養、ボランティア活動など)で一時的に海外へ行く人」などが挙げられます。
国内居住要件を満たすために必要な書類・証明方法
海外留学する子どもが扶養認定を受けるには「健康保険被扶養者(異動)届」にて、日本居住要件の例外に該当する旨を届け出なくてはいけません。届け出先は、加入している全国健康保険協会や健康保険組合などの保険者です。
その際、保険者が例外に該当しているかを確認するため、下記いずれかの書類も用意しておきましょう。
●査証
●学生証
●在学証明書
●入学証明書などの写し
また、書類が外国語で作成されている場合は、翻訳者を記名した日本語の翻訳文も添付する必要があります。手続きの詳細や必要書類、提出期限などは加入先の保険者によって異なるため、勤務先を通じて担当の窓口に詳細を確認してください。
国内居住要件に関する注意点
一時的な海外留学であれば、国内居住要件の例外によって扶養の対象となりますが、注意しておくべき点が2つあります。
被扶養者の対象から外れてしまうケースがある
「海外に永住する(長期間滞在する)」「現地で就職する」など、状況によっては被扶養者の対象から外れてしまうケースがあることを理解しておきましょう。留学に関する期間には明確な指定がなく「留学の期間は問わない」とされていますが、長期滞在や現地での就職は「日本国内に生活の基礎がない」と判断される可能性が高くなります。
また、被扶養者の年間収入が「130万円」を超えると扶養から外れてしまうため、留学先の現地でアルバイトをしたいと考えている人は「年間収入」にも注意しておきましょう。
日本の健康保険は海外では使えない
健康保険は日本独自の制度であり、留学先の現地では使用できません。海外の医療費は全額負担として高額になる可能性が高いため、扶養に入れた場合でも海外滞在時に医療費をどのようにカバーするか検討しておいた方がよいでしょう。医療費の補助手段としては「留学保険」や「海外療養費」が挙げられます。
「留学保険」とは、海外留学の際に加入できる民間保険会社の海外旅行保険の1つです。治療費の補償だけでなく、損害賠償責任が発生したときや、手荷物の盗難・破損などがおもな補償対象となっています。保険料や補償内容はプランや保険会社によって異なるため、自分に合った保険商品を選ぶことが大切です。
次に「海外療養費」とは、海外の医療機関で診療や治療を受けた際、後日申請することで一部医療費の払い戻しを受けられる制度のことです。申請をおこなうには「海外療養費支給申請書」「診療内容明細書」などいくつかの書類を用意する必要があります。
留学中も不慮の事故や病気などなにが起きるか分からないため、不測の事態に備えて準備しておきましょう。
海外へ留学する学生は健康保険の「国内居住要件」の例外に該当する!証明方法や注意点も正しく理解しておこう
一時的に海外留学をする大学生であれば、国内居住要件の例外に該当するため、親の扶養に入ることができます。扶養認定を受けるには加入している保険者へ届け出をおこなう必要があること、状況によっては被扶養者の対象から外れてしまうケースがあることも理解しておきましょう。
また、親の扶養に入ったとしても、海外の医療機関で診療を受ける際は保険証を使用できないため、留学保険や海外療養費について理解を深めておくことも大切です。
出典
e-GOV法令検索 健康保険法(大正十一年法律第七十号) 第三条 7
全国健康保険協会 協会けんぽ 被扶養者とは? 収入の基準
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修 : 高橋庸夫
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