定年退職したら「失業保険」はもらえない?「65歳前」の退職で受給できるケースはありますか?

配信日: 2025.07.27
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定年退職したら「失業保険」はもらえない?「65歳前」の退職で受給できるケースはありますか?
定年退職は「年齢の制限で会社を辞める」というイメージが強いため、「失業保険は受け取れない」と捉えている方もいるでしょう。しかし、一定の要件を満たしていれば、定年退職後でも失業保険を受給できます。
 
本記事では、失業保険の概要に加え、定年退職後でも失業保険を受け取れるケースをご紹介します。
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失業保険とは

失業保険とは、雇用保険に加入していた方が離職後に要件を満たした際に受け取れる給付金のことです。再就職までの経済的負担を軽減し、スムーズな就職活動を支援します。
 
失業保険は広く使われている呼び名ですが、これはあくまで「通称」です。正確には「雇用保険」の給付の1つである「失業等給付」のうち、おもに失業時に受け取れる「基本手当」を指します。
 

定年退職後に失業保険を受け取るための要件

定年退職後でも失業保険を受け取れる可能性があるのは、以下の3つの要件をすべて満たした場合です。
 

1. 65歳になる「2日前」までに退職している

定年退職後に失業保険を受け取るには、65歳になる「2日前」までに退職していなければなりません。
 
失業保険を受け取れるのは、65歳未満の退職者に限られます。民法では年齢を計算する際に、誕生日を迎えたその日を「満年齢の1日目」として数えるため、65歳の誕生日の前日には満65歳になっている扱いになります。つまり「65歳になる前に退職している」状態と見なされるには、65歳の前々日までに退職していなければなりません。
 

2. 明確な再就職の意思がある

明確な再就職の意思があることも、定年退職後に失業保険を受け取るための要件です。
 
具体的にはハローワークに出向いて求職申し込みをしていたり、再就職活動を行っていたりするなど、「働ける状態で、かつ働く意欲があり実際に就職先を探している状態」が該当します。定年退職後に働くつもりがない場合は、失業保険の受給要件を満たせない点に注意しましょう。
 
そもそも失業保険は「再就職の支援」を目的とした給付金です。そのため、明確な再就職の意思を持ち、実際に求職活動を行っている必要があります。
 

3. 雇用保険の被保険者期間を満たしている

失業保険を受給するためには、例えば自己都合退職をした一般の離職者については、「退職前の2年間に通算12ヶ月以上」雇用保険に加入していた実績が必要です。
 
ただし、会社都合退職と見なされて「特定受給資格者」の区分になることもあり、その場合は、失業保険を受給するための雇用保険の加入要件が「退職前の1年間に通算6ヶ月以上」に緩和されます。
 
現在では、多くの企業が「60歳定年制」を採用し、その後も働くことを希望する方に対しては、継続雇用で対応するケースが一般的です。継続雇用の制度の有無や本人の意思により、区分が変わります。
 
例えば、本人が継続雇用を希望しなかった場合は「一般の離職者」、希望したにもかかわらず正当な理由なく再雇用されなかった場合は「特定受給資格者」となる可能性があります。判断は、ハローワークが行います。
 

満65歳以降の退職は「高年齢求職者給付金」の対象

満65歳以降の退職で受け取れる可能性があるのは、失業保険と呼ばれる雇用保険の基本手当ではありません。雇用保険では、満65歳に達した日を境として保険者の区分が変わるため、満65歳以降に退職した場合は「高年齢求職者給付金」の支給対象となります。
 
一方で、失業保険(基本手当)と年金は同時に受け取れず、基本手当の受給期間中は年金が全額支給停止となります。これに対し、高年齢求職者給付金は年金と併給が可能で、年金が停止されたり減額されたりすることはありません。
 

再就職の意思があることや、65歳の「2日前」までに退職しているなどの条件を満たせば、失業保険の受給対象になる可能性がある

定年退職後でも再就職の意思があり、65歳の2日前までに退職しているなど、一定の条件を満たせば失業保険を受け取れる可能性があります。退職時の状況によっては「特定受給資格者」として認定され、条件が緩和されるかもしれません。
 
また、65歳以降の退職者には「高年齢求職者給付金」が用意されています。制度を正しく理解しておくことで、定年後の経済的不安を軽減できるはずです。
 

出典

ハローワークインターネットサービス 基本手当について
e-Gov法令検索 民法 第百四十三条
雇用保険の高年齢求職者給付金を受けようとする方へ…
厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
厚生労働省 雇用保険と年金の併給調整について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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