夫が交通事故に遭いました。「休業損害」は申請すれば保険から支払われるのでしょうか?

配信日: 2025.07.28
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夫が交通事故に遭いました。「休業損害」は申請すれば保険から支払われるのでしょうか?
交通事故の被害者になり、けがをして働けない期間ができてしまったときは「休業損害」の補償を受けられる可能性があります。
 
本記事では、「休業損害とは何なのか」「どこにどうやって請求すればいいのか」について解説します。
馬場愛梨

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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交通事故の「休業損害」とは? どこに請求する?

交通事故に遭ってけがをしたせいで働けなくなってしまったら、収入が減って生活が苦しくなるかもしれません。そうならないように、事故の被害者は加害者に対して休業損害(仕事を休むことになったために受けた損害)に対する補償を請求できることになっています。

【休業損害が発生する状況の例】

●けがで入院するあいだ仕事を休むことになった
●通院が必要で、その日は出勤や就業ができない
●医師から「自宅で安静にするように」との指示があった

休業損害に対する補償は、事故がなければ本来得られたはずの収入を補償するもので、事故の慰謝料や治療費などとは別に請求できます。また、事故の被害者が雇用されていない人(自営業者やフリーランスなど)や就業していない人(専業主夫・専業主婦など)でも補償の対象になります。
 
休業損害が発生した場合の請求先は、加害者(実際には加害者が加入している保険会社)です。
 
また、ひき逃げなどで加害者が分からない場合や、加害者が保険に入っていない状態(無保険)だった場合は、政府が自賠責保険と同額程度を補償する「政府保障事業」という仕組みがあります。この場合は、政府保障事業に対応している損害保険会社の請求窓口に問い合わせましょう。
 
ちなみに、仕事中や通勤中の交通事故だった場合は「労災」となり、労災保険(労働者災害補償保険)から休業補償給付を受けられる可能性があります。こちらは、労働基準監督署を通じて国(労災保険)に請求します。なお、労災保険は自動車保険と併用可能ですが、休業補償など重複する補償についてはどちらか一方しか受け取れないため、注意が必要です。
 
そのほか、事故に遭った人(被害者)自身が医療保険や所得補償保険、就業不能保険などに加入している場合、その保険から給付金や保険金を受け取れる可能性があります。保険会社に問い合わせれば、加入している保険の内容や請求の手続き方法について教えてもらえます。
 

休業損害に対する補償はいくら受け取れる? 請求方法は?

休業損害の補償として受け取れる金額は、事故の相手が加入している保険や被害に遭った人の収入などによって異なります。
 
自賠責保険では、「1日当たり6100円」を基準としています。例えば、2週間働けなかった場合は6100円×14日=8万5400円です。ただし、1日当たり6100円以上の損害が出たと証明できれば、基準額を超える補償を受けられる場合もあります。相手が任意の保険に加入している場合は、自賠責保険だけの場合よりも手厚い補償を受けられる可能性が高くなります。
 
請求の際は、加害者側の保険会社に必要書類を提出することになります。勤務先に依頼して作成してもらう「休業損害証明書」や源泉徴収票、確定申告書など収入を証明する書類を求められる場合もあり、状況によっては保険会社が支払いを認めないケースもあります。 
 
もし事故の相手方や保険会社と折り合いがつかないなどのトラブルが発生した場合は、弁護士や交通事故専門の相談機関などに相談できます。落ち着いて対応しましょう。
 

まとめ

交通事故に遭って仕事を休むことになったら、「休業損害」の補償の対象になる可能性があります。事故の相手方(加害者)と話し、その人が加入している保険会社に対して請求の手続きを行いましょう。
 
併せて、労災に該当するかどうかや、事故に遭った人(被害者)本人が加入している保険からお金を受け取れるかどうかも確認しておきましょう。
 

出典

一般社団法人日本損害保険協会 交通事故による休業損害の基礎情報や考え方を解説
損害保険料率算出機構 政府の保障事業とは
国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト 政府保障事業
厚生労働省 労働災害が発生したとき
 
執筆者 : 馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

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