高齢の母が入院した際、「1日あたり1380円の食事代」が別途かかりました。高額療養費制度ではカバーされないのでしょうか?
この記事では、入院中にかかる食事代の仕組みと、高額療養費制度との関係、さらに食費の負担を減らすための制度や準備についてわかりやすく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
高齢者の入院でかかる「食事代1日1380円」の正体とは?
入院中の食事代は「入院時食事療養費」として制度化されており、患者が一部を自己負担します。この負担分を「標準負担額」と呼びます。例えば、一般的な所得の人であれば、2025年時点では1食あたり460円、3食で1日あたり1380円となっています。
病院の方針によって金額が変わることはなく、減額措置が適用される場合はこれより低くなります。これは、食材費だけでなく、調理・配膳などにかかる費用も含まれています。療養病床の場合でも、通常は同じ負担額ですが、特例や減額措置が適用されることもあります。
高額療養費制度では入院食費はカバーされない
高額療養費制度とは、1ヶ月間の医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超えた分が後から戻ってくる制度です。ただし、対象となるのは「保険診療の自己負担分」のみ。入院中の食事代や差額ベッド代など、医療に直接関係しない費用は原則として補填されません。
したがって、1日1380円の食事代も高額療養費制度の対象外です。いくら病院の請求額が高くても、食事に関する費用は戻ってこないのです。
食費が軽減されるケースと申請方法を知っておこう
ただし、すべての人が1食510円を支払うわけではありません。収入や年金が少ない人には「標準負担額の軽減措置」があります。以下のように所得区分に応じて、負担額は下がります。
・区分II(低所得者II/住民税非課税世帯)
→1食240円(過去1年の入院が90日超の場合190円)
・区分Ⅰ(低所得者I/70歳以上の非課税世帯かつ年金等収入80万円以下)
→1食110円
この軽減を受けるには「限度額適用・標準負担額減額認定証」が必要です。申請はお住まいの市区町村や加入している健康保険組合で行います。
家族が申請代行することも可能なので、入院が決まったら早めに準備しておきましょう。これにより、入院食費の負担を大きく減らせる可能性があります。
高額療養費制度の限界と、事前にできる備え
高額療養費制度では、医療費の大部分をカバーしてくれますが、以下のような費用は対象外です。
・入院時の食事代(標準負担額)
・差額ベッド代(希望で個室を選んだ場合など)
・日用品やパジャマなどのレンタル代
・先進医療の技術料
これらの出費は想像以上に大きくなることがあります。対策としては、医療保険や入院保険で1日あたりの定額給付を受けられるように備えるのがおすすめです。特に高齢の親の入院が予想される場合は、早めに保険内容を確認しておきましょう。
食事代は戻らない。でも負担を減らす方法はある
入院中の1日1380円の食事代は「標準負担額」にあたるため、高額療養費制度ではカバーされません。とはいえ、所得に応じた軽減措置を活用すれば、1日数百円まで減らすことも可能です。手続きには「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請が必要なので、入院が決まったらすぐに動きましょう。
また、思わぬ出費に備えて、医療保険や入院保険の内容を事前に見直しておくことで、経済的な安心につながります。高齢の家族の入院には不安も多いですが、制度を正しく知っておくことで負担を減らし、安心して看病に専念できます。
出典
全農健康保険組合 低所得者の負担軽減措置
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー