75歳から「後期高齢者医療制度」に切り替わりました。医療費の自己負担はいくら変わるのでしょうか?

配信日: 2025.08.03 更新日: 2025.08.04
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75歳から「後期高齢者医療制度」に切り替わりました。医療費の自己負担はいくら変わるのでしょうか?
75歳になると、国民健康保険・健康保険から後期高齢者医療保険に切り替わります。これに伴い、医療費の自己負担割合が変わります(所得によって変わらない方もいます)。ご自身の医療費の自己負担がどれくらい変わるのか、気になる方もいらっしゃることでしょう。
 
本記事では、「後期高齢者医療制度の自己負担割合はどれくらいか?」「医療費の自己負担はどれくらい変わるのか?」について解説します。令和4年10月から一部変更となった、後期高齢者医療の窓口負担割合についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

後期高齢者医療制度の自己負担割合はどれくらいか?

後期高齢者医療制度は、「75歳以上の方」と「65歳から74歳で一定の障害がある方」を対象とする医療保険制度です。以下では、分かりやすさを優先するため、「75歳以上の方」についてのみ解説していきます。
 
75歳以上の方の医療費の自己負担割合は、図表1のとおりです。
 
図表1

区分 自己負担割合
一般所得者など 1割
一定以上所得者 2割
現役並み所得者 3割

※厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」より筆者作成
 
「区分」の判定基準は、以下のとおりです。

●一般所得者など:課税所得が28万円未満で「一定以上所得者」に該当しない方
●一定以上所得者:課税所得が28万円以上であって、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が200万円(単身世帯の場合。複数世帯なら320万円)以上の方
●現役並み所得者:課税所得が145万円以上であって、かつ「年収」が約383万円(単身世帯の場合。複数世帯なら約520万円)以上の方

また、わが国の医療制度には「高額療養費制度」というものがあり、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費について、1ヶ月当たりの上限額(自己負担限度額)を設けています。70歳以上の方の自己負担限度額については、図表2のとおりです。
 
図表2

区分 自己負担限度額
外来
(個人ごと)
外来+入院
(世帯ごと)
世帯全員が住民税非課税
(年収約80万円以下)
8000円 1万5000円
世帯全員が住民税非課税
(年収約80万円超)
2万4600円
一般所得者
(住民税課税世帯)
1万8000円
(年14万4000円)
5万7600円
〈多数回該当:4万4400円〉
一定以上所得者 1万8000円
(年14万4000円)
※負担増加額3000円以内
(令和7年9月30日まで)
現役並み所得者 収入に応じて 8万100円~25万2600円+(医療費-26万7000円~84万2000円)× 1%
〈多数回該当:4万4400円~14万100円〉

※厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」より筆者作成
 
以上のように、後期高齢者医療制度において、区分に応じて自己負担割合や自己負担限度額が異なることが分かります。
 

医療費の自己負担はどれくらい変わるのか?

以下では、後期高齢者医療制度に切り替わる前と後(「70歳から74歳」と「75歳以上」)では医療費の自己負担がどれくらい変わるのかについて、区分が「一般所得者」である方を例に、解説していきます。
 
一般所得者の場合、医療費の自己負担割合は「70歳から74歳」が2割、「75歳以上」が1割です。つまり、自己負担割合は半分になり、自己負担額も半分になるといえます。
 
例えば、1ヶ月の医療費が8万円である場合、自己負担額は「70歳から74歳」が1万6000円(=8万円×2割)、「75歳以上」が8000円(=8万円×1割)となり、その差は8000円となります。また、1ヶ月の医療費が9万円である場合、自己負担額は「70歳から74歳」が1万8000円、「75歳以上」が9000円となり、その差は9000円となります。
 
しかし、1ヶ月の医療費が9万円を超えると、状況は変わります。自己負担限度額が影響してくるからです(ちなみに、医療費の自己負担限度額については、「70歳から74歳」と「75歳以上」で違いはありません)。
 
例えば、1ヶ月の医療費が10万円で、それが外来のみ(個人)の場合、自己負担額は「70歳から74歳」が自己負担限度額の1万8000円、「75歳以上」が自己負担1割の1万円となり、その差は8000円になります。自己負担限度額があるため、両者の自己負担額の差は医療費9万円を境に縮まっていき、最終的に差はなくなります。
 

まとめ

本記事では、「後期高齢者医療制度の自己負担割合はどれくらいか?」「医療費の自己負担はどれくらい変わるのか?」について解説しました。まとめると、以下のとおりです。

●後期高齢者医療制度の自己負担割合は、原則として1割(一定以上の所得の方は2割または3割)
●医療費の自己負担は、原則として半分になるが、自己負担限度額は変わらない(一定以上の所得の方は変わらない)

令和4年10月より、後期高齢者医療の窓口負担割合について、一部変更されました。これにより、一部の方については、75歳以降も負担割合が変わらないということになります。
 
75歳以降、公的医療保険はますます重要になっていきます。後期高齢者医療制度のご理解に当たり、本記事が参考になれば幸いです。
 

出典

厚生労働省 高齢者医療制度
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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