定年退職後は「任意継続保険」に入りましたが、2年目に「国民健康保険の方が安い」ことに気づきました。途中で「切り替える」ことはできますか?
かつては一度加入すると2年間は原則として脱退できませんでしたが、現在では制度が変わり、自分の判断で切り替えることが可能になっています。
この記事では、任意継続保険から国民健康保険への切り替えの可否や、保険料の仕組み、具体的な手続きについて分かりやすく解説します。
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任意継続保険とは?国民健康保険との違い
任意継続保険は、会社を退職した人が在職中と同じ健康保険に2年間まで引き続き加入できる制度です。加入条件は、退職前に継続して2ヶ月以上健康保険に加入していたことです。
保険料は退職時の給与を基準に決まり、その後2年間は、収入が減っても毎月の金額は変わりません。一方、国民健康保険は、市区町村が運営し、前年の所得や家族構成などを基に保険料が計算されます。
退職直後は前年の所得が反映されるため高くなりやすいですが、その後は所得の減少に応じて保険料が下がる可能性があります。
途中で国保に切り替えることはできる?
2022年1月の健康保険法改正により、任意継続中でも本人の申し出により途中脱退ができるようになりました。これにより、国民健康保険の方が保険料が安くなるタイミングで切り替えることが可能になっています。
ただし、国民健康保険の保険料は毎年6月(新制度年度の開始時)に変更されます。退職により数年たつと所得が減少し、国保の保険料が下がる場合もあるので、任意継続保険より有利になるケースもあります。
実際に国民健康保険の方が安くなるかは、ご自身の前年所得や家族構成により異なります。切り替えは計画的に検討したいところです。
切り替えに必要な手続きと注意しておきたい点
では、実際に切り替えるにはどうすればいいのでしょうか。
任意継続保険を途中でやめる場合、「資格喪失申出書」を健康保険組合に提出します。申し出が受理されると次の月の1日で任意継続の資格を失い、国民健康保険への加入が可能です。国民健康保険に切り替える際は、市区町村の窓口で加入手続きを行います。その際、任意継続の資格喪失通知書や本人確認書類などが必要ですので、事前に準備をしましょう。
なお、健康保険組合や市区町村により手続きの詳細や必要書類が異なる場合もあるため、実際に切り替えを行う前には、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
手続きの際の注意点としては、申し出をすると受理日翌月1日に任意継続が失効し、再取得はできません。また、各制度の扶養家族の取り扱いも異なります。
任意継続では1人分の保険料で扶養家族全員がカバーされますが、国民健康保険の場合は世帯全員分が課税対象となり、保険料も増える傾向があります。保険料シミュレーションは各自治体の公式サイトで簡単に行えるため、切り替え前に試算しておくと安心です。
また、国民健康保険には所得に応じた減免制度が設けられています。失業や収入減で困った場合は、窓口に相談すると保険料が軽減される可能性があります。自治体の最新情報なども確認し、条件を満たせば積極的に活用するとよいでしょう。
任意継続保険は2年を待たずに国民健康保険へ切り替えられる
任意継続保険から国民健康保険へ切り替える場合は、保険料や手続き、家族構成などさまざまな点で比較・検討が必要です。自身の所得やライフプランに合わせて制度を選び、事前のシミュレーションや相談を行うことがポイントといえます。
上手に制度を使い分けて、自分にとってより負担の少ない選択をするとよいでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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