定年退職後に「返し忘れた保険証」で妻が受診…!持病の悪化でやむなく使ったのですが、「新しい加入先の手続き完了まで」なら問題ないでしょうか?
この記事では、退職後の健康保険証の取り扱い、誤って使ってしまった場合の影響、そして新しい加入先の手続きが完了するまでに受診が必要になったときの対応について解説します。
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目次
退職日の翌日から保険証は無効。返却を忘れるとトラブルに
会社を退職すると、その会社の健康保険の資格は本人と、被扶養者として加入している家族(妻を含む)も同時に失効します。全国健康保険協会(協会けんぽ)によれば、資格喪失日は「退職日の翌日」です。例えば7月31日付で退職した場合、8月1日からは本人と扶養家族の保険証は使えなくなります。
このため、退職後に妻が病院でその保険証を提示しても、資格が切れた状態での利用となり、不正使用とみなされます。結果として医療機関や保険者から、医療費を返還するよう求められる可能性があるでしょう。
トラブルを避けるためには、退職日までに本人分・扶養家族分の保険証をすべて会社へ返却することが大切です。
無効な保険証を使ってしまったら?精算をやり直すことに
もし資格を喪失した保険証を使ってしまった場合、医療費の精算をやり直すことになります。
例えば診察と薬代で合計1万円かかったとします。自己負担3割の3000円を払い、残り7000円は健康保険が立て替えます。しかし資格喪失が判明すると、その7000円を返さなければならず、最終的には1万円全額を自己負担することになります。
その後に国民健康保険や任意継続などに加入していれば、新しい保険に療養費の申請を行うことで、本来の自己負担分を除いた金額が払い戻される場合もあります。とはいえ、資格を失った保険証を使うこと自体が不正利用にあたり、認められている対応ではありません。
急病などやむを得ない事情があっても、資格を失った保険証は使えない点を理解しておきましょう。誤って使用した場合はすぐに会社や健康保険組合に連絡し、正しい精算方法を確認する必要があります。
資格確認書やマイナ保険証が利用可能になる前に受診が必要なときは?
退職と同時に健康保険の資格は失われますが、新しい加入先で資格確認書が交付されたり、マイナ保険証が利用できるようになるまでには、数日の空白が生じることがあります。持病があり定期的な通院や薬の処方が必要な場合、この期間への備えが重要です。
退職後の加入先がまだ決まっていない場合は、「国民健康保険」「任意継続」「扶養」といった制度の中から、負担の軽いものを比較しておくと安心です。事前に選んでおけば、切り替えもスムーズに進められるでしょう。
万が一、手続きが完了する前に受診が必要になった場合は、いったん全額自己負担で支払い、後日「療養費」の申請で差額が払い戻される仕組みがあります。また、退職前にかかりつけ医へ相談し、受診の間隔を調整しておくことも有効でしょう。
万一に備えて、退職前から次の保険準備を
退職後の健康保険証は本人も妻も翌日から無効となり、そのまま使えば医療費の返納を求められる可能性があります。まずは速やかに会社へ返却し、任意継続は20日以内、国民健康保険は14日以内を目安に手続きを進めましょう。扶養に入る場合は条件を確認し、早めに書類を準備しておくことが安心につながります。
急病や持病の悪化といった切羽詰まった事情があっても、資格を失った保険証を使うことは難しいでしょう。万一のときに困らないためにも、退職前から次の保険の準備を進めておくことが大切です。
出典
全国健康保険協会 パンフレット 協会けんぽ GUIDE BOOK
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー