80代の父は年金「月7万円」で一人暮らしです。貯金も尽きて“医療保険料”や“介護保険料”の支払いが困難なのですが、減免や免除を受けることは可能でしょうか?
実は、所得が少ない世帯や生活が困難な場合には、医療保険料や介護保険料に減免や免除の仕組みが用意されています。本記事では、利用できる制度の内容や申請の流れ、相談すべき窓口につい解説します。
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目次
年金月7万円で一人暮らし、高齢者の生活と負担の現実
令和7年度の国民年金の満額は月額6万9308円です。これだけで一人暮らしを続けることは、家賃・食費・光熱費に加えて、医療保険料(75歳未満は国民健康保険料、75歳以上は後期高齢者医療制度の保険料)や介護保険料の負担を考えたら現実的ではありません。
自治体によって異なりますが、これらの保険料を合わせると低所得でも年4~5万円程度がかかるのが一般的です。貯金が尽きた状態でこの負担を背負うのは現実的ではなく、多くの方が「減免や免除を受けられないか」と考えるのも当然です。
医療保険料の軽減・減免はどんな仕組み?
75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に加入しており、この保険料には軽減や減免の仕組みがあります。住民税が非課税の世帯であれば、均等割と呼ばれる一律部分が最大7割まで原則自動的に軽減され、年金生活の方でも負担を抑えられています。
ただし、引っ越し直後など、課税情報が反映されていない場合は、自分で申告が必要になることもあります。さらに、以下のような場合、申請によって追加の減免措置を受けられるケースもあります。
・災害や失業で収入が激減した
・年金だけでは生活が立ち行かない
・生活保護を受給している
申請は市区町村の窓口で行い、前年の所得や預貯金の状況を証明する必要があります。
なお、75歳未満で国民健康保険に加入している場合も、同様に「所得に応じた自動軽減」と「特別事情による申請減免」が用意されており、市区町村の窓口で申請します。軽減の対象部分や細かい条件は後期高齢者医療制度とは異なる部分もあるため、自治体へ確認しましょう。
介護保険料は免除できる? 減額制度や特例措置を解説
介護保険料は40歳以上の人に課される義務ですが、こちらにも軽減制度があります。
・多くの自治体では、保険料所得段階が第2・3段階の方で条件に該当すれば、申請することで減額する制度があります。
・本人が生活保護を受けている場合、介護保険料は全額免除されます。
・収入が激減したり、災害で家計が困難になったりした場合には「特別な事情による減免」が認められることもあります。
つまり、全員が免除されるわけではありませんが、低所得者への配慮制度は存在するため、必ず自治体へ確認することが重要です。
相談窓口と、生活を守るための追加支援制度
保険料の負担が厳しいときは、まずお住まいの市区町村役場に相談しましょう。医療保険や介護保険の担当部署が窓口です。申請しなければ減免が適用されないケースもあるため、確認も含め早めの行動が大切です。
さらに、生活そのものが立ち行かないときには、次のような制度や支援もあります。
・年金生活者支援給付金制度:所得が一定以下の年金受給者に、年金に上乗せして支給される給付金
・生活保護制度:資産や収入の状況に応じて生活費や医療費を支援
・高齢者向けの臨時給付金や貸付制度:自治体が独自に用意している場合あり
・地域包括支援センター:高齢者の暮らしや介護に関する総合的な相談窓口
まとめ:早めの相談と制度活用で生活を守ろう
月7万円の年金生活にとって、医療保険料や介護保険料の負担は重くのしかかります。しかし、後期高齢者医療制度や介護保険には軽減や減免の仕組みがあり、生活が困難な場合には生活保護や地域の支援制度を利用する選択肢もあります。
大切なのは「払えなくなってから」ではなく「払えそうにない」と感じた時点で市区町村に相談することです。制度を正しく活用することで、負担を和らげ安心して暮らしを続けることができます。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー