医療費が莫大・・・そんな時に使える公的制度とは
配信日: 2019.05.27 更新日: 2024.07.18
ただし、公的な制度も申請しなければ使えません。今回は、『知らなかった・・・』で損をしないために、病気やケガの際に使える公的制度についてお伝えします。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
医療費がかかりすぎるときに使える制度
病気やケガによって医療機関で受診した場合、医療費は健康保険や国民健康保険、後期高齢者医療制度に加入していれば、1割から3割の自己負担で済みます。しかし、手術が必要になって入院したり、通院も回数が多くなったりすると医療費の自己負担も金額が多くなり、大変です。そこで、医療費の負担を軽減する制度や税金が戻ってくる制度がありますので確認しましょう。
・高額療養費制度
同一世帯で医療費の1か月の自己負担が限度額以上になった場合、超えた分を加入している公的医療保険が負担してくれる制度です。医療費の自己負担の限度額は、年齢や収入によって異なります。
また、高額の医療費が継続して続く場合には「多数回該当」という仕組みもあります。
これは、直近12か月内に高額療養費を3回受けた場合、4回目からは限度額が下がり、さらに自己負担を減らしてくれる制度です。
ただし、利用する場合には注意点もあります。入院時の食事代や差額ベッド代などは高額療養費の対象外です。
また、医療費を単純に合算できるわけではありません。70歳未満の場合、受診した人、医療機関ごと(医科と歯科は別にする)に入院と通院によって1か月の自己負担の合計を算出し、21,000円以上かかった場合の金額を世帯内で合計した額が自己負担限度額になります。70歳以上の場合は計算ルールも異なりますので、加入している保険制度のホームページ等を確認しましょう。
・医療費控除
その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が、一定額を超える場合に確定申告をすれば、税金の還付を受けられる制度です。医療費控除の計算式は、次の式で算出した金額で、最高200万円になります。
支払った医療費の合計額 - 保険金などで補てんされる金額 - 10万円(*)
(*)その年の総所得が200万円未満の場合は総所得の5%の金額
また、いつ大きな病気やケガをするかわかりませんので、医療費の領収書は捨てずに保管しておくよう習慣づけましょう。
病気やケガで働けない・・・収入を補う制度もある
病気やケガで働けなくなった場合、収入が途絶えてしまう可能性もあります。その場合に使える公的な保障が「傷病手当金」です。傷病手当金は、会社員や公務員の方が病気やケガで連続して3日休んだ場合、4日目以降に健康保険から給料の約3分の2の給付を受けることができます。ただし、休業中も事業主から傷病手当金より多くの報酬を受けることができる場合には給付されません。
自営業者の場合、傷病手当金はありませんが、障害等級1級から2級に該当すれば障害基礎年金を受けられる可能性があります。会社員や公務員は、障害等級3級から障害基礎年金に上乗せで障害厚生年金が支給されます。
病気やケガで困ったとき、お金の不安があると治療に専念できません。公的な制度でお金を取り戻せたり、収入を補えたりすることができることを知っていれば、いざという時に役立てることができます。居住している地方公共団体や健康保険からの広報誌などにも情報が記載されていることもあります。広報誌やホームページなどはよく目を通しておきましょう。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
DCアドバイザー