「年金受給者は医療費が安い」と思っていましたが、親が入院して「高額療養費として月8万円」請求されました。年金生活でも医療費は高いのでしょうか?

配信日: 2025.09.26
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「年金受給者は医療費が安い」と思っていましたが、親が入院して「高額療養費として月8万円」請求されました。年金生活でも医療費は高いのでしょうか?
「年金受給者なら医療費はそんなにかからない」と思っていたのに、親の入院で「高額療養費として月8万円」も請求された…。このような体験をした方は少なくありません。実は、年金を受給しているからといって、必ずしも医療費が安くなるとは限らないのです。
 
本記事では、なぜ医療費が高くなるのか、高額療養費制度の仕組みと、年金生活者が医療費を抑えるためのポイントを解説します。
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年金生活でも医療費が高くなる理由

年齢が70歳を超えると、医療費の自己負担割合は2割または3割に軽減されます。ただし、これは保険が適用される診療に限られます。入院時の食事代や差額ベッド代、自由診療などは対象外です。
 
また、「高額療養費制度」により1ヶ月あたりの自己負担には上限がありますが、この上限額は年齢や所得によって異なります。たとえば、70歳以上で住民税課税世帯の場合、入院時の自己負担限度額はおよそ月5万7600円〜ですが、外来費用や保険適用外の費用を含めると、実際の請求額が8万円を超えることも珍しくありません。
 

高額療養費制度の仕組みを理解しよう

高額療養費制度とは、1ヶ月に支払った医療費が一定の金額を超えた場合、その超えた分が後から払い戻される制度です。70歳以上の場合、限度額は所得や世帯状況によって次のように区分されます。

・住民税非課税世帯Ⅰ(年金収入80万円以下など):1万5000円(個人ごと)、世帯では2万4600円
 
・住民税非課税世帯Ⅱ:8000円(個人ごと)、世帯では2万4600円
 
・一般課税世帯(所得一般):約5万7600円(世帯あたり)
 
・所得が高めの世帯(現役並み):8万100円+(総医療費−26万7000円)×1% など

ただし、この制度は保険適用部分の医療費の自己負担に限られ、差額ベッド代や食事代などは対象外です。入院時の費用が8万円を超えることがあるのは、このような保険外の費用が加わっているためです。
 
また、「限度額適用認定証」を事前に医療機関に提出すれば、窓口での支払いを最初から自己負担限度額までに抑えられます。申請をしていない場合は、後から払い戻しの手続きを行う必要があり、数ヶ月かかる場合があるため注意が必要です。
 

医療費を抑えるためにできること

年金生活でも医療費をできるだけ抑えるには、いくつかの対策があります。
 
・限度額適用認定証の活用
 
入院が決まったらすぐに保険者(市区町村や健康保険組合)に申請して認定証を取得しましょう。これにより、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられます。
 
・保険適用内の治療を優先する
 
差額ベッド代や自由診療は全額自己負担となるため、これらを避けることで医療費を大きく抑えられます。
 
・住民税非課税世帯の軽減制度を確認
 
住民税非課税の世帯は自己負担限度額や入院時の食事療養費などで軽減措置があります。条件を確認し、該当する場合は申請を忘れずに行いましょう。
 
・医療費控除を活用する
 
年間の医療費が一定額以上の場合、確定申告で医療費控除を受けられます。領収書は必ず保管し、申告期限内に申告しましょう。
 

まとめ

年金受給者でも医療費が高額になることはありますが、その多くは制度の仕組みを知らないことや、保険適用外の費用が含まれているためです。高額療養費制度や限度額適用認定証を上手に活用すれば、月の医療費を一定額に抑えられます。
 
「思ったより高い…」と感じたら、まずは制度を確認し、医療機関や保険者に相談してみましょう。正しい知識が、家計の負担をぐっと軽くしてくれます。
 

出典

厚生労働省 医療費の自己負担割合(70歳以上)
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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