2026年1月契約から「自動車保険」値上げ発表相次ぐ…年間保険料が「5万→6万円台」に上がるケースも?“値上げの背景・家計への影響”を解説
本記事では、家計への影響を抑えるために、値上げの背景と保険料を見直す具体的な方法を解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
自動車保険料が2026年から値上げへ
まずは、値上げの時期と主な内容を整理していきましょう。
損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損保の3社は、2026年1月契約分から「平均で6~7.5%」の保険料引き上げを実施します。また、東京海上日動火災保険は2025年10月から平均8.5%の引き上げを発表しており、2026年1月には参考純率に準じた改定の見込みを発表しました。
つまり、2026年1月契約、あるいは更新分から、多くの契約者がさらに保険料を数%程度多く負担することになる可能性があるということです。
保険料が「5万円台→6万円台」になったら……家計への影響を試算
では、実際に年間5万円台の保険料だった契約の場合、値上げ後にはどれほど年間負担額が増えるのでしょうか。
例えば、現在5万5000円で契約している場合で考えてみます。6%引き上げられると3300円増えて保険料は5万8300円、7.5%の引き上げなら4125円増で5万9125円となり、契約する補償内容や等級によっては、6万円を超えるケースが出ることも十分に考えられるのです。
家族持ちで車2台所有など複数契約している家庭のケースでは、2台の契約を合わせると年間で1~2万円の増加もあり得るでしょう。昨今の光熱費や食品の物価上昇も考えると、家計への圧迫は厳しい内容になると考えられます。
ただし、地域差や車のタイプ(軽自動車・普通車・輸入車のサイズや排気量)や補償内容・等級(事故歴の有無)などによって、影響の大小は異なるので注意しましょう。
なぜ保険料が上がるのか? 背景に事故率や修理費の増加
保険料値上げの背景は、主に以下の要因です。
◆修理費・部品価格の上昇
現在世の中の物価上昇が車の部品代へも影響し、部品代が高騰しています。また、先進運転支援システム(ADAS)を搭載する車の増加などにより、複合部品(モジュール部品)の使用が増えていることも影響があるでしょう。
さらに、工賃(作業賃・塗装など)も整備業界の人手不足や賃金上昇などでコストが上がっています。
◆災害・事故や賠償額の増加
自然災害の頻発化や高額な交通事故賠償額により、保険会社が支払う保険金の総額も増加傾向です。特に対物賠償・車両保険部分の損害総額の上昇は保険料に大きく反映される形となっています。
これらの要因が合わさると保険会社の収支が悪化につながるため、保険料の値上げは避けられない状況です。
保険料を抑えるための見直しポイント
家計の保険料支出負担を軽減するには、保険料の構成要素を理解し、必要な部分を見直すことが大切です。
◆補償内容の調整
まずは、車両保険を付帯するか、修理する際の部品を純正品にするか社外品にするか、免責金額(自己負担額)を上げるかなどのオプションを調整・見直すことで、保険料を抑えることができます。
◆運転者条件を限定する
記名被保険者や配偶者・家族限定など、運転できる人を限定すれば事故リスクを下げ、保険料を軽減できます。
◆ネット型・ダイレクト保険の活用
保険代理店を通さない「ネット申込型自動車保険」は、代理店手数料や店舗コストの削減により保険料が割安のことが多いので、見直しもおすすめです。
◆特約・付帯サービスの見直し
代車費用特約やロードアシスト特約、人身傷害補償など、使用頻度や必要性を考えて不要な特約を外せば、保険料を抑えられます。
負担増の時代でも“選び方”で家計は守れる
自動車保険料は2026年1月に値上げされ、保険会社や契約内容で異なりますが6~7.5%の引き上げが見込まれています。契約内容によっては、例えば年間5万円台の保険料が6万円台になる可能性があります。
しかし、補償内容の見直し、運転者条件や等級の維持、料率クラスの理解、ネット型保険や特約の合理化といった対策を取れば、家計への影響を抑えることは十分可能です。保険の更新時や新規契約の際には、これらのポイントを意識して賢く選んでください。
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士