【注意】家族で出かけたら「外国人が運転する車」にぶつけられた! 相手は“レンタカー”ですし、泣き寝入りするしかないですか? 賠償請求できるケースとは
ただでさえ大変な事態なのに、「相手が外国人だったら、賠償は受けられないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、実際には日本人同士の事故と同じように損害賠償請求が可能です。
本記事では、訪日外国人ドライバーの実態、事故が起こった場合の損害賠償請求や注意点について詳しく解説します。訪日外国人が増えている今、このようなトラブルは誰にでも起こりうる話なので、ぜひ参考にしてください。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
訪日外国人ドライバーの実態とは?
まず、訪日外国人ドライバーの実態についてみていきましょう。令和6年の訪日外国人旅行者は、実に3687万人にものぼります。コロナ禍の影響で落ち込んだ令和2年の約412万人と比べると、約9倍にまで増加しています。
観光客の中にはレンタカーを利用して自ら運転する人もおり、彼らが関係する事故も増えています。
内閣府の統計によると、国際免許証や外国免許を所持した訪日外国人運転者によるレンタカーの事故は、令和2年の47件から令和6年には171件へと約3.6倍に増加しました。
交通事故全体(令和6年は約29万件)からするとわずかな割合ではあるものの、訪日外国人ドライバーと遭遇する可能性は徐々に高まっており、事故リスクも増しているのが現実といえるでしょう。
事故件数の増加を受け、事業者や自治体は外国語冊子や交通ルール入りのドライブマップを整備しています。また、国も「一時停止」標識への英字併記や道路案内標識の英語表記改善を進めるなど、外国人にとって分かりやすい環境整備を行ってます。
損害賠償は請求できる
相手が外国人であっても、損害賠償は請求できます。旅行者がレンタカーを借りる際には、料金に自賠責保険に加えて任意保険もセットで含まれているため、事故が起きた場合にはその保険を通じて補償を受けられます。
その場合、保険会社が事故状況や損害額を調査し、契約内容に応じて補償が行われますが、任意保険の補償だけでは足りない場合や、加害者である外国人との交渉が難航する場合もあるでしょう。そのようなときには、レンタカー会社に対して直接、損害賠償を請求することを検討してください。
自動車損害賠償保障法により、レンタカー会社は「運行供用者」として人身事故の賠償責任を負うため、被害者は運転者だけでなくレンタカー会社にも請求できるのです。
ただし、自動車損害賠償保障法を根拠にレンタカー会社へ賠償請求できるのは、人身事故のケースだけです。物損事故の場合は、民法の規定により賠償請求することになります。
外国人がレンタカーではなく、個人所有の車を運転していて、任意保険に加入していなかった場合には、加害者本人に直接請求しなくてはなりません。この場合、加害者が帰国してしまうと、請求や手続きが難航する可能性があります。
事故後に確認すべきこと
相手が外国人かどうかに関わらず、事故直後には冷静に対応することが大切です。
まず警察に連絡して交通事故証明を取り、相手がレンタカーなら会社名と連絡先を必ず確認しましょう。国際免許証やパスポートを提示してもらい、車両のナンバーや損傷状況、現場の様子を写真で残すことも欠かせません。
その後は、速やかに自分の保険会社への連絡を行いましょう。これらを怠ると、後に相手と連絡が取れなくなる、証拠不足で保険請求が難しくなるといった事態が起こりえます。事故直後は混乱しやすいですが、落ち着いて1つずつ確認することが大切です。
まとめ
外国人ドライバーとの事故は、観光立国となった日本では誰にでも起こり得ることです。しかし、相手が外国人だからといって賠償を受けられない、ということはありません。日本の法律や保険制度が適用されるため、基本的には日本人同士の事故と同じように対応できます。
重要なのは、「証拠を確保すること」と「保険会社・警察を必ず通すこと」です。事故の直後は焦りや不安が大きいですが、正しい手続きを知っていれば泣き寝入りする可能性を減らせます。
日常生活や旅行先での不測の事態に備え、こうした知識を頭の片隅に置いておくことが、自分や家族を守る大切な備えとなるでしょう。
出典
内閣府 外国人運転者に対する交通安全対策について
e-Gov法令検索 自動車損害賠償保障法
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種