「マイナ保険証」で年収がバレるって本当? 健康保険証と違ってマイナンバーカードはみんな同じはずなのに、なぜ?
この記事では、マイナ保険証は健康保険証とはどう違うのか、なぜ年収が関係してくると言われるのか、制度の仕組みとともに解説します。
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「マイナ保険証」とは何か:健康保険証との違いを整理する
まず、マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として使えるように利用登録したものです。つまり外見上はマイナンバーカードと同じカードを使い、医療機関や薬局では顔認証付きカードリーダーで読み取る方式になります。
従来の健康保険証の新規発行は、2024年12月2日以降終了しており、現在はマイナ保険証を基本とする仕組みに移行しています。
デジタル庁によれば、後期高齢者医療制度や国民健康保険に加入している方が持っている従来の健康保険証は、2025年7月31日以降、順次有効期限を迎えています。今後はマイナ保険証もしくは「資格確認書」を提示することで、今まで通りの自己負担割合で保険診療を受けることができるとしています。
なお、「資格確認書」については、マイナ保険証を持っていない方や後期高齢者医療制度の被保険者の方には申請なしに無償で交付されます。
「年収がバレる」といううわさの根拠:高額療養費制度と限度額適用区分
では、なぜ「マイナ保険証を使うと年収がバレる」といううわさがあるのでしょうか。その根拠は主に、高額療養費制度および限度額適用区分にあると考えられます。
高額療養費制度とは、ひと月に支払った医療費が、自己負担上限額を超えた場合に、その超えた金額分を支給する制度です。この上限額の区分は加入者の年齢や所得(年収水準)をもとに設定されています。
例えば、ある患者(仮に69歳以下の方)が医療機関でマイナ保険証を提示し情報提供に同意したケースで、高額療養費の限度額が「5万7600円」であれば、その人の所得帯が「年収370万円以下程度」である可能性を推察されることがあります。これが「年収がバレる」と言われる主な理由です。
ただし、この区分は幅広い所得レンジを含んでおり、同じ区分の中で実際の年収は大きく異なることがあります。そのため、限度額区分を見るだけで正確な年収を特定できるわけではありません。
年収データそのものはマイナ保険証に記録されていない
マイナ保険証には、氏名・生年月日・保険者番号・被保険者証記号・番号などの基本情報は記録されますが、年収データや所得金額そのものを記録する仕組みはありません。
保険制度上、年収・所得に関する情報は税務・市町村などの行政機関が管理し、その情報を保険者が把握・照合することがあります。ただし、医療機関がそれを自由に閲覧できるわけではなく、用途や条件が限定されています。
したがって、「病院でマイナ保険証を出した瞬間、年収がバレる」という表現は正確とは言えません。また、そもそも限度額適用区分の参照がなければ、医療現場では年収に関する情報は扱われないことの方が通常です。
このように、「マイナ保険証で年収がバレる」という表現は、高額療養費制度および限度額適用区分との関係を誤った形で曲解して広まったうわさであると考えられます。
まとめ
マイナ保険証は、便利さや手続きを簡略化する方向で医療制度のデジタル化を進めるための仕組みです。外見上はマイナンバーカードと同一ですが、年収そのものを記録する仕組みはありません。制度の運用上、限度額適用区分の確認を通じて所得帯が推察されることがあるだけで、通常の診察で年収を特定される可能性は低いと考えられます。
マイナ保険証の登録・利用を行う際は、制度の仕組みやプライバシーの取り扱いなどを理解しておくことが重要です。
出典
デジタル庁 デジタル庁ニュース 8月以降順次切り替え!健康保険証の注意点は?(後期高齢者医療制度・国民健康保険の被保険者の方)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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