10年前に加入した保険が満期を迎え、300万円を受け取りました。これは「所得」として確定申告が必要でしょうか?

配信日: 2025.10.26
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10年前に加入した保険が満期を迎え、300万円を受け取りました。これは「所得」として確定申告が必要でしょうか?
10年前に加入した生命保険や学資保険などが満期を迎え、「まとまったお金が戻ってきた」という方も多いでしょう。
 
保険会社からの満期金の通知を見て、「これは税金がかかるの? 」「確定申告しなければいけないの? 」と疑問に思うのは自然なことです。今回は、満期保険金を受け取ったときに確定申告が必要かどうか、その判断方法や計算のポイントをわかりやすく解説します。
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満期保険金は「所得」として扱われるのか?

結論から言うと、満期保険金の一部は「所得」として課税対象になる場合があります。ただし、すべての金額が課税されるわけではなく、払い込んだ保険料(元本)を差し引いた「増えた部分」だけが対象です。
 
所得税法上では、受け取る保険金の種類によって表1のように区分されます。
 
【表1】

受取人 保険の種類 所得の区分
契約者=被保険者=受取人 満期保険金 一時所得
契約者≠受取人
(例:契約者が夫、受取人が妻)
贈与扱い 贈与税
被保険者と契約者が異なる
(例:夫が契約、妻が被保険者)
死亡保険金など 相続税

今回は「自分で加入した保険が満期を迎え、自分が受け取るケース」なので、「一時所得」に該当します。
 

一時所得の計算方法

一時所得の金額は、次の計算式で求めます。
 
一時所得 =(受け取った金額 - 支払った保険料 - 特別控除額50万円)× 1/2
 
ここで重要なのが「特別控除額50万円」と「2分の1ルール」です。つまり、50万円までは非課税、さらに課税対象はその後の金額の半分だけという優遇措置があります。具体例で見てみましょう。
 
満期保険金 300万円
払込保険料の総額 250万円

 
この場合の計算は以下の通りです。
 
(300万円 - 250万円 - 50万円) × 1/2 = 0円
 
→ 結果は0円。課税対象の一時所得は発生しません。つまり、確定申告の必要もありません。
 

確定申告が必要になるケースとは?

次のような場合には、確定申告が必要になる可能性があります。
 

1.満期金が大きく、利益部分が50万円を超える場合

例)満期金500万円、払込保険料400万円の場合
→(500-400-50)×1/2=25万円が課税対象。給与所得などと合算して申告が必要です。
 

2.複数の保険で満期金を受け取った場合

一時所得はすべての満期金を合算して計算します。複数契約の利益合計が50万円を超えると課税されます。
 

3.給与所得がある会社員でも注意

給与以外の所得(この場合は一時所得の2分の1計算後の額)が20万円を超えると申告義務が生じます。
 

満期金を受け取ったらやるべきこと

1.保険会社からの「満期金のお知らせ」を保管

支払保険料や満期金額の内訳がわかる資料は、計算の根拠になります。
 

2.自分で支払った総保険料を確認

10年分の支払いがわからない場合は、保険会社に「払込証明書」を依頼できます。
 

3.複数の保険をまとめて計算

同一年に受け取った保険金は合算して判定する必要があります。
 

4.確定申告が必要な場合は、申告書に「一時所得」として記入

国税庁の確定申告書作成コーナーでも、一時所得の項目から簡単に入力できます。
 

よくある誤解と注意点

「元本割れしていても申告しなきゃいけない? 」

→ 元本割れ(受取額が支払額より少ない)なら利益はないため、課税も申告も不要です。
 

「保険会社が税金を引いてくれないの? 」

→ 満期保険金では源泉徴収が行われません。申告が必要かどうかは自分で判断します。
 

「学資保険でも同じ? 」

→ 学資保険も契約者=受取人なら同様に一時所得扱いです。ただし、契約者と受取人が異なる場合は贈与税が発生します。
 

満期保険金は「利益50万円超」が申告の目安

満期保険金は、受け取った金額すべてが課税されるわけではなく、「受取額-支払保険料-50万円」で求めた利益部分のみが一時所得として課税対象になります。
 
さらに、その半分が所得として計上されます。利益が50万円以下なら非課税となり、確定申告は不要です。ただし、複数の保険金を合算して50万円を超える場合や、高額な満期金を受け取った場合は申告が必要になるため、事前に計算して確認しましょう。
 

出典

金融庁 No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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