退職後に国民健康保険に切り替えたら保険料が倍になった。前年の所得で決まる”ってどういう仕組み? 軽減の方法は?

配信日: 2025.11.18
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退職後に国民健康保険に切り替えたら保険料が倍になった。前年の所得で決まる”ってどういう仕組み? 軽減の方法は?
退職後に国民健康保険へ加入したところ、保険料が想像以上に高くなり驚いたという声は多く聞かれます。
 
こうした状況が起きる背景には、国民健康保険の保険料が前年の所得を基準に計算される仕組みがあります。特に退職直後は家計への負担が大きく感じられやすいため、制度の構造を理解しておくことが重要です。
 
本記事では、国民健康保険の保険料が前年所得で決まる理由と、退職後に保険料が増えやすい要因、そして負担を抑えるために活用できる制度を解説します。
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前年の所得で保険料が決まるのはなぜ?

国民健康保険の保険料は、前年の所得を基準に算定されます。これは、確定申告や年末調整で前年の所得が確定しているため、公平かつ安定的に保険料を計算することが可能となるためです。
 
現年の収入を基準にすると、収入の変動を自治体がリアルタイムで把握するのが困難であり、制度の運営が不安定になるおそれがあります。
 
そのため、退職後に収入がなくなっても、前年に高い給与所得があればその金額が算定基準となります。退職直後の保険料が高額になるのは、この仕組みが大きな理由です。
 

国民健康保険の保険料構成と負担が増える背景

国民健康保険の保険料は、主に「所得割」「均等割」「平等割」の3つで構成されます。このうち最も負担が大きいのは、所得割です。所得割は、前年所得から一定の控除額を差し引いた金額に料率を掛けて計算されるため、前年に収入が高かった人ほど負担が大きくなります。
 
また、均等割は加入者一人ごとの定額負担、平等割は世帯ごとの定額負担で、所得が低い場合でもこれらの負担は必ず発生するため、保険料がゼロになることはありません。加えて、制度改定により保険料の上限額が引き上げられる年度もあり、全体として保険料負担が増加する傾向にあります。
 
さらに、会社員時代は健康保険料を会社と折半していたため、自己負担額を意識しにくい環境でした。しかし、退職後は国民健康保険に加入し全額自己負担となるため、退職直後はほぼ倍増する感覚を持ちやすいのです。
 

負担を抑えられる軽減・減免制度

収入の変化や失業の状況に応じて、国民健康保険にはいくつかの負担軽減制度が設けられています。どの制度が使えるかは人によって異なりますが、主なものは次のとおりです。
 

1. 低所得世帯向けの軽減

前年の所得が一定額以下の場合、均等割や平等割が7割・5割・2割のいずれかで軽減されます。軽減は世帯単位で判定されるため、家族構成によって軽減の適用範囲が異なります。
 

2. 非自発的失業者への特例

倒産・解雇・雇い止めなどの理由による離職の場合、前年の給与所得を30%として計算する特例が適用されます。対象となる離職理由は限定されますが、適用されると所得割が大幅に下がるため、実質的な保険料軽減につながります。
 

3. 減免・納付猶予制度

災害や病気、急激な収入減少などにより保険料の納付が困難な場合、保険料の減免や納付猶予が認められることがあります。ただし、基準や内容は自治体によって異なるため、早めの相談が大切です。
 
これらの制度は、いずれも申請が必要です。特に退職直後は忘れがちですが、手続きを行うことで負担軽減につながる可能性があります。
 

制度を理解し、できる対策を行おう

退職後に国民健康保険へ切り替えると、前年の所得を基準に保険料が算定されることや会社員時代と異なり保険料を全額自己負担する仕組みであるため、保険料が高く感じられやすくなります。
 
生活への影響を抑えるためには制度を正しく理解し、自身が利用できる軽減制度や減免制度の有無を確認することが重要です。加入する自治体の窓口に早めに相談して自分の状況を伝え、該当する制度の適用を受けられるよう手続きを行うことで、無理のない保険料負担に近づけることができるでしょう。
 

出典

厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
中央区 国民健康保険料の軽減・減免
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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