【2025年10月~】後期高齢者の医療費「2割負担」へ、対象になる人は?
今回は後期高齢者医療制度における窓口負担の仕組みと、2割負担に該当する方について説明していきます。
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
目次
健康保険は年齢によって自己負担割合が変化する
日本ではなんらかの健康保険制度に加入する「皆保険制度」となっており、学生や個人事業主などが加入する国民健康保険、会社員などが加入する協会けんぽや管掌けんぽなどがありますが、基本的な自己負担割合は3割になります。
そして、75歳以上になると後期高齢者医療制度に切り替わり、自己負担割合も1割になりますが、現役並み所得者は3割負担のままとなります。
しかし、2022年の改正により、現役並み所得とならずとも、一定以上の収入がある方は自己負担割合が2割となるケースが出てきました。
特に定年退職後も働き続けて老後資金を工面しようとしている方は、自己負担割合が2割に該当してしまう可能性があります。
高齢者は年齢とともに医療機関の受診機会が増える傾向があり、医療費も高くなりやすいといわれています。また、収入面も公的年金や短時間就労による給与収入が柱となるため、自己負担割合が1割上がるだけでも老後生活に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。
後期高齢者医療制度の2割負担対象の要件は?
後期高齢者医療制度で自己負担割合が2割となるには、以下の2つの収入要件を満たす必要があります。
(1)世帯内に75歳以上で住民税課税所得が28万円以上145万円未満の方がいる
(2)75歳以上の方で年金収入+その他の合計所得金額が1人世帯では200万円以上、2人以上世帯では320万円以上である
世帯人数と年金額に左右されますが、例えば単身世帯で年金収入が年額180万円の場合、給与収入が年収85万円を超えると2割負担に該当する可能性があります。
自己負担額が上がると医療費総額はどれくらい増えるのか?
高齢者医療制度の2割負担の対象者は、後期高齢者医療の被保険者の20%が該当すると見込まれています。
後期高齢者の年間医療費は約95万6000円(10割負担ベース)といわれており、自己負担額が1割増えると年間9万5600円の負担増になります。仮に老後が15年続いた場合、負担額は約143万円の増加になります。
現役世代からすると微々たる金額と感じられるかもしれませんが、老後生活は年金収入が主な収入源であり、医療費が多くかかるということは健康面から給与収入を得ることが難しくなっている恐れもあるため、家計収支や老後計画に大きなマイナスの影響を及ぼしてしまうかもしれません。
まとめ~2割負担に該当する場合は老後計画の見直しが必要~
後期高齢者医療制度の自己負担割合は原則1割ですが、一定の収入がある世帯は2割負担となります。2割負担に該当するのは後期高齢者の20%と推定されており、今後後期高齢者となる方も含めて多くの方がその影響を受けることになります。
特に、後期高齢者は若い世代よりも傷病により多額の医療費がかかるリスクがあり、自己負担が1割増えただけでも多額の負担増となってしまう恐れがあります。
老後生活は年金収入と多少の給与収入といった現役時よりも収入が減少している可能性があり、さらに健康状態の悪化により収入がさらに低下してしまい、老後資金が想定よりも早く枯渇してしまったという事態に陥ってしまうかもしれません。
定年退職後も働いて老後生活費を充当していこうと考えているのであれば、ご自身の年金収入と想定している給与収入等を確認し、自己負担額が2割負担に該当するのであれば老後資金の計画を見直しておくことをおすすめします。
出典
厚生労働省 後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しについて(お知らせ)
厚生労働省 後期高齢者医療費の特性(令和4年度)
執筆者 : 菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表