風邪で「オンライン診療」を受けたら、通院より“1000円”高くてビックリ!「健康保険」が適用されたはずなのに、なぜ高額なのでしょうか? 費用差の理由を解説

配信日: 2025.11.24
この記事は約 4 分で読めます。
風邪で「オンライン診療」を受けたら、通院より“1000円”高くてビックリ!「健康保険」が適用されたはずなのに、なぜ高額なのでしょうか? 費用差の理由を解説
体調を崩して病院に行きたいのに、自宅から遠い、外出する元気がない、などの理由から、「オンライン診療」を利用する人が増えています。
 
しかし、利用率は全体から見るとまだわずかで、利用した人の中には通常の対面診療より高額の請求が来て驚く場合があるかもしれません。本記事では、オンライン診療の費用や、対面診療との違いについて解説します。
掛川夏

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種

コロナ禍を機に普及拡大が進む

オンライン診療とは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを使って、自宅等にいながら医師の診察や薬の処方を受けることができる診療です(図表1)。
 
電話再診などとして利用されていた「遠隔医療」が情報通信技術の進展とともに徐々に普及拡大し、その中の情報通信機器を活用した診療が、2018年の厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」発表により、「オンライン診療」との名前が定着、保険適用の対象となりました。
 
当時は再診のみ利用可能でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に一定の条件下では初診からの利用が認められ、普及速度が高まりました。現在は対応可能な診療科も増え、内科や小児科、皮膚科をはじめ、心療内科、AGA、低用量・アフターピルなど、さまざまな症状で利用されています。
 
図表1

図表1

厚生労働省 オンライン診療について
 

「風邪」でオンライン診療、費用の目安は?

オンライン診療にかかる費用は、「保険診療」と「自由診療」で大きく異なります。今回は、「風邪」をひき、健康保険適用(自己負担割合3割)で平日の日中にオンライン診療を初診で受け、いくつかの薬を処方・配送してもらう場合にかかる費用を試算します。
 
風邪症状によるオンライン診療の自己負担額は、主に以下の要素から構成されます。
 

(1)診察料…約760円
(2)薬代…薬によるが300~1000円程度
(3)薬の配送料…0円~1000円程度
(4)システム利用料…0円~2000円程度

 
(1)の診察料は、費用算出の元となる診療報酬の点数が全国一律に決まっているため、医療機関による違いは基本的にありません。ただし、時間外や土日に診療を受けたり、医療機関の体制によっては数百円またはそれ以上の加算(時間外加算、医療情報取得加算、医療DX推進体制整備加算など)が発生したりすることがあります。
 
(2)の薬代は、薬が処方されなければ発生しません。(3)の配送料は、配送サービスを使うかどうかや、使う場合は医療機関が設定する金額によって異なり、保険適用外です。
 
(4)のシステム利用料とは、医療機関が導入しているオンライン診療プラットフォームの利用料を指します。保険適用外で医療機関が自由に料金を設定できます。そのため、患者負担を0円とするケースから1000円、2000円に設定するケースまでさまざまです。
 
(1)~(4)を合計すると、約1060円~約4760円となります。症状が同じでも、薬に関する費用とシステム利用料の設定金額による違いが大きいことが分かります。
 

対面診療との費用差

対面診療の場合にかかる費用は、診察料(保険診療)と薬代だけですが、診察料はオンライン診療の方が100円ほど安く設定されています。オンライン診療を利用した場合だけに発生するのが薬の配送料とシステム利用料で、両者の合計分だけ費用がかかることになります。
 
今回のケースだと、対面診療での費用は約1170円~1870円程度。オンライン診療だと対面診療費と同程度~4000円程度高くかかる計算結果となりました。
 
ただし、対面診療では病院までの交通費がかかる場合もあり、ここまでの費用差が生まれないこともあります。
 

まとめ

オンライン診療は、さまざまなメリットがある一方、医療機関によってサービスの内容が異なり、追加費用が重なると請求金額が高額になる場合があります。対面診療との適切な使い分けや、普段から複数のオンライン診療サービスを比較して自分に合いそうなサービスを探しておくといった工夫が大切になるでしょう。
 

出典

厚生労働省 オンライン診療について
 
執筆者 : 掛川夏
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問