「10月の社会保険料」が高くなった原因は年度初めの“残業しすぎ”にある!? 4・5・6月に“一般労働者の平均である月13.5時間程度”残業したケースで差額を試算
本記事では、社会保険料が決まる仕組みや、4~6月に一般労働者の平均である月13.5時間残業した場合の社会保険料について解説します。
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目次
10月から「社会保険料」が高くなった原因は年度初めの「残業しすぎ」の可能性
毎月給与から控除される社会保険料は、標準報酬月額に応じて決まります。標準報酬月額は、毎年7月に実施される定時決定という仕組みにより見直されます。定時決定とは、4月・5月・6月の報酬の平均(報酬月額)を基に標準報酬月額を決定し直す手続きです。
定時決定により見直された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月まで適用されます。見直された社会保険料は、当月控除の会社は9月の給与から、翌月控除の会社は10月の給与から控除される仕組みです。
標準報酬月額の対象には、基本給(給料)はもちろん、残業手当や通勤手当なども含まれます。そのため、4~6月に残業しすぎると標準報酬月額が高くなり、社会保険の等級が上がり、9~10月以降の社会保険料が高くなるかもしれません。
4・5・6月に“一般労働者の平均である月13.5時間程度”残業した場合「社会保険料」はいくらくらい高くなる?
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査-令和6年分結果確報」によると、一般労働者の所定外給与は2万7033円、所定外労働時間は13.5時間となっています。また、社会保険料は「健康保険料」+「介護保険料(40歳以上)」+「厚生年金保険料」で算出可能です。
東京都の企業に勤めている40代の会社員で全国健康保険協会に加入している方を例に、標準報酬月額が30万円から32万円に上がった場合の社会保険料を計算しました。
・30万円
22(19)等級:健康保険料(介護保険料含む)1万7250円+厚生年金保険料2万7450円=4万4700円
・32万円
23(20)等級:健康保険料(介護保険料含む)1万8400円+厚生年金保険料2万9280円=4万7680円
以上から、4・5・6月に月13.5時間程度残業した場合、社会保険料は2980円高くなる可能性があります。
「年度初めの残業」以外に社会保険料が高くなるケースとは?
日本年金機構によると、報酬の定義は「労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのもの」です。
標準報酬月額には金銭(通貨)だけでなく、通勤定期券・食事・住宅など現物で支給されるものも含まれます。つまり、通勤定期券の値上げや結婚・出産による家族手当の増加、引越しによる通勤手当・住居手当の増加などでも社会保険料が高くなる場合があるのです。
なお、標準報酬月額が上がることは必ずしもデメリットだけではありません。傷病手当金や各種厚生年金などが増えるため、万が一のケガや病気、将来への備えになる場合があります。
まとめ
年度初めの残業によって標準報酬月額が高くなると、社会保険の等級が上がり、社会保険料が高くなる場合があります。
東京都の企業に勤めている40代の会社員が年度初めに毎月13.5時間残業すると、社会保険料は約3000円高くなる結果となりました。標準報酬月額の増加は必ずしもデメリットだけではありませんが、社会保険料を抑えたい人は年度初めの残業に気を付けましょう。
出典
厚生労働省「毎月勤労統計調査-令和6年分結果確報 概要」(1ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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