妻が「一度会社を退職して、しばらく休みを取りたい」と言います。貯金はほぼ0円のため「失業手当」で暮らすといいますが、本当にやっていけるのか心配です。現在の年収は約500万だそうです。

配信日: 2025.11.30
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妻が「一度会社を退職して、しばらく休みを取りたい」と言います。貯金はほぼ0円のため「失業手当」で暮らすといいますが、本当にやっていけるのか心配です。現在の年収は約500万だそうです。
「妻が一度会社を辞めて、しばらく休みたい」そんな相談を受けたとき、貯金がほぼゼロだと「失業手当でなんとかなるだろうか?」と不安になるのは自然なことです。確かに、雇用保険の基本手当(一般に“失業手当”と呼ばれるもの)は、仕事を辞めたあとの生活を支えるセーフティネットです。
 
しかし、受給額や期間には大きな幅があり、「年収500万円なら大丈夫」かどうかは条件次第です。今回は、制度の仕組みを整理したうえで、「どこまで現実的か」「どんなポイントに注意すべきか」をわかりやすく解説します。
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雇用保険の基本手当(失業手当)の仕組みと基本条件

失業手当は、失業したときに次の就職までの生活を支えるための制度で、正式には「雇用保険の基本手当」と言います。
 
受給できるには条件があります。原則として「離職前1年間で雇用保険に加入していた期間が6か月以上」であることなどが必要です。
 
また、離職の理由や再就職への意思、求職活動なども条件です。支給される金額は、離職前の賃金(直近6か月など)をもとに「賃金日額」を算出し、それに一定の給付率をかけた「基本手当日額」が基準となります。
 
ただし、この金額には上限があり、どんなに高い給料だったとしても基本手当日額には「1日あたりの上限」が設定されています。給付期間(つまり手当を受けられる日数)は、退職理由や雇用保険への加入期間、年齢などで異なります。自己都合退職なら一般的には90〜150日が多く、会社都合などの条件がそろえばもっと長い場合もあります。
 

年収500万円だった場合、どのくらいの手当が期待できるか

仮に「年収500万円で働いていたが退職した」という条件だと、基本手当の給付額は“離職前6か月の給与”をもとに計算されます。たとえばボーナスを除いた月の給与が同程度なら、賃金日額から基本手当日額を算出することになります。
 
ただし、上限があるため、高収入でも「前の給料の50〜80%」がそのままもらえるわけではありません。上限に達する可能性もあります。
 
具体的に「月あたりいくら」というモデルは人によって大きく変わりますが、仮に基本手当日額が上限近く(例:1日あたり約8,000円台など)になったとして、28日分でおおよそ 22〜25万円前後(月あたり) が見込めるケースもあります(ただしこれはあくまで概算の一例です)。
 
しかしこの金額は「手当だけ」で生活をまかなった場合の目安であって、「家族構成」「住居費」「子どもの有無」「その他支出」の条件次第では、十分とは言えない可能性があります。
 

失業手当だけで「貯金ゼロ」からの暮らしはどこまで現実的か

貯金がほぼゼロの状態で失業手当に頼って生活するとなると、以下のようなリスクがあります。
 

・手当の受給が始まるまでに「待機期間」や「認定日」の手続きがあり、収入が途切れる期間が発生する
・手当の給付額・期間には上限があるため、長期間の休みによって給付が切れた後は収入がゼロになる
・家賃、光熱費、食費、子育て費用、保険、医療費など、固定費と変動費を考えると、手当だけでは生活が厳しくなる
・貯金がないと、予期せぬ出費(医療費、車の修理、冠婚葬祭など)に対応できず、再就職や新しい仕事が決まるまでに資金難になる

 
つまり、失業手当は「次の仕事を探す間の一時的なセーフティネット」としては有力ですが、「しばらく休むための収入源」として長期に頼るにはかなりリスクがあります。特に貯金ゼロの状態では、不測の事態に弱く、精神的にも経済的にも不安を抱えやすくなることが予想されます。
 

退職前の準備

もし失業手当だけで生活するのが難しいと感じるのであれば、退職の前にいくつかの準備をしておくことが大切です。まず意識したいのは「貯金をつくる」ことです。最低でも数ヶ月分、できれば半年ほどの生活費を確保しておけば、収入が途切れた期間でも焦らずに過ごせます。
 
また、退職の理由によっては、自己都合退職でも給付制限が短くなる場合があります。家族の事情や育児が理由であれば「特定理由離職者」と認められる可能性があるため、事前にハローワークへ相談しておくとよいでしょう。
 
同時に、家計全体の見直しも欠かせません。家賃や通信費、保険料などの固定費を必要な範囲で整理して、無理のない水準に調整しておくことで、手当が切れた後の負担を軽くできます。夫婦で生活の見通しを共有し、どの程度の支出なら維持できるのか、どこに負担があるのかを話し合うことで、退職後の生活もぐっと現実的になります。
 
こうした準備を進めることで、退職後にしばらく休むことが必要な状況でも、急な出費や予期せぬトラブルに対応しやすくなり、結果として余裕を持って生活できるようになります。
 

まとめ

年収500万円であっても、失業手当(雇用保険の基本手当)は条件を満たせば一定の支えになりえます。しかし、給付額や期間には上限があり、貯金ゼロで生活を完全に手当だけに頼るのはかなりリスクが高いといえます。
 
もし「しばらく休みたい」「生活の見通しを立てたい」と考えるなら、退職前に貯金を用意するか、失業手当だけでなく収入源の確保や家計の見直しも一緒に検討することをおすすめします。そうした準備があって初めて、安心して“休みながらの生活”を考えられるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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