70代の母が「高額介護合算療養費制度で支払った金額を知人に話したから年収がバレたかも…」と言っています。年収によって自己負担限度額は変わるものなのでしょうか?
今回は、高額介護合算療養費制度の自己負担限度額の決まり方や、制度を利用する際の申請方法などについてご紹介します。
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高額介護合算療養費制度の自己負担限度額の決まり方
高額介護合算療養費制度とは、1年間の医療保険と介護保険の自己負担額が一定基準を超えていたときに、超過分を支給してもらえる制度です。本制度における1年間とは8月1日~翌年7月31日までを指します。
高額介護合算療養費制度で定められている上限額は、年齢および所得条件によって変わります。東京都保健医療局によると、70歳以上の人の基準は表1の通りです。
表1
| 所得区分(世帯) | 課税所得基準 | 自己負担限度額 (国民健康保険+介護保険) |
|---|---|---|
| 現役並み所得者3 | 690万円以上 | 212万円 |
| 現役並み所得者2 | 380万円以上690万円未満 | 141万円 |
| 現役並み所得者1 | 145万円以上380万円未満 | 67万円 |
| 一般 | ほかのどの所得区分にも該当しない | 56万円 |
| 低所得者2 | 住民税非課税世帯 | 31万円 |
| 低所得者1 | 一定基準を満たす住民税非課税世帯 | 19万円 |
出典:東京都保健医療局「高額介護合算療養費」を基に筆者作成
所得とは、自身が得ている収入から必要経費を差し引いた金額です。そのため、上限額が分かると、その人のおおよその所得帯が分かることになります。
例えば、東京都保健医療局によると、現役並み所得者1とは同じ世帯に住民税の課税所得145万円以上380万円未満の70歳以上の人がいる場合の区分です。もし課税所得の求め方を知っていると、ここからおおよその収入も分かるでしょう。
ただし、分かる可能性があるのは概算なので、自身の年収が正確にバレる可能性はあまりないと考えられます。
なお、課税所得が145万円以上であっても、70歳以上の高齢者が1人の世帯で合計収入が383万円未満の場合、東京都保健医療局の基準では現役並み所得者とはならず一般区分になります。また、2人以上で世帯の合計収入が520万円未満の場合も一般区分です。
所得基準は自治体によって異なる可能性があるため、必ず自身の属する自治体の基準を確認しましょう。
課税所得の求め方
課税所得とは、所得から所得控除を差し引いた税金を求める際に使用する金額のことです。所得は10種類あり、その収入を得た手段などによって分けられます。例えば、給料を受け取ったときの所得の種類は給与所得です。
国税庁によると、課税所得は以下の手順で求められます。
(1)収入から必要経費を引いて各所得を求める
(2)すべての所得を合計する
(3)(2)から所得控除を差し引いた金額が課税所得
所得控除は16種類あり、人によって適用される種類や金額は変わります。例えば、合計所得が300万円で基礎控除のみ適用される人の場合、住民税の基礎控除43万円を差し引いた257万円が課税所得です。
高額介護合算療養費制度の申請方法
自己負担の上限を超えて高額介護合算療養費制度の対象になると、原則として加入している医療保険から書類が届きます。例えば、東京都中野区の後期高齢者であれば、東京都後期高齢者医療広域連合から申請書などの書類が届くそうです。
制度を利用するときは、同封されている封筒に申請書などの必要書類を入れて提出しましょう。東京都中野区の場合、窓口での申請の際は以下の書類を持参します。
・郵送された申請書
・後期高齢者医療資格確認書など
・被保険者本人の銀行口座が分かるもの
・マイナンバーカードか通知カード
申し込む際は、自身の属する自治体のホームページなどで必要書類を確認しましょう。
自己負担限度額は年齢や所得によって変わる
高額介護合算療養費制度の自己負担限度額は、年齢および所得区分によって変わります。そのため、所得や課税所得の求め方を知っている人であれば、自己負担限度額からおおよその収入を計算することもできるかもしれません。
しかし、あくまでも分かるのが概算であり、条件によって実際の収入は変わる可能性があるため、「自己負担限度額がバレたから年収もバレる」という心配はあまりせずともよいでしょう。
出典
東京都保健医療局
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1000 所得税のしくみ
中野区
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー