退職した父(63歳)から「国民健康保険の請求が年36万円も来た」と相談が! 無職・収入ゼロでもここまで高い? 減免を使うと“いくらまで下がる”のか計算した
こうした相談は、自治体の窓口や家計相談の現場で決して珍しくありません。国民健康保険(以下、国保)は“前年の所得”を基準に保険料が決まる仕組みのため、現在の収入状況と請求額が大きく乖離することがあるのです。本記事ではその理由と減免制度について解説していきます。
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目次
無職・収入ゼロでも高額請求が来る理由
国保の保険料は、主に所得割、均等割、平等割の3要素で構成されています。問題となりやすいのが「所得割」で、これは前年の所得をもとに計算されます。
たとえば、昨年まで会社員として年収400万円程度あった人が、今年に入って退職し無職になった場合でも、国保の保険料はその前年収入を基準に算定されます。その結果、月3万円、年36万円といった高額な請求が届くケースがあるのです。
さらに、自治体によっては均等割(加入者1人あたり)や平等割(世帯ごと)も上乗せされるため、「収入ゼロ=保険料ゼロ」にはなりません。
減免制度を使えばどこまで下がる?
ただし、救済策がないわけではありません。多くの自治体では、国民健康保険料の減免制度を設けています。
代表的なのは以下のようなケースです。
・失業・倒産・解雇などによる収入激減
・今年の見込み所得が前年より大幅に減少
・無職・求職中で生活が困難な場合
減免が認められると所得割が全額免除、あるいは大部分が軽減されることがあります。
特に「非自発的失業者(会社都合退職など)」の場合、前年所得のうち給与所得を実際より低く(3割)見なして計算する特例があり、大幅な負担軽減につながる可能性があります。
申請しないと“自動では下がらない”
注意したいのは、減免は原則として申請制であることです。何も手続きをしなければ、「高すぎる」と感じる保険料がそのまま確定してしまいます。
必要書類としては、
・離職票
・収入見込みの申告書
・失業給付の受給状況
などが求められることが一般的です。申請期限が設けられている自治体もあるため、「払えない」と感じた時点で、早めに市区町村の国保窓口へ相談することが重要です。
それでも厳しい場合の選択肢
減免を使ってもなお支払いが困難な場合は、分納(分割払い)や徴収猶予の相談も可能です。放置すると延滞金が発生したり、最悪の場合は差し押さえにつながったりすることもあるため、「何もしない」のが最もリスクの高い選択となります。
国保36万円請求は珍しくないが、減免で負担は大きく下げられる
無職・収入ゼロでも国民健康保険料が年36万円請求されるのは、制度上“珍しくない”話です。しかし、減免制度を正しく使えば、負担は大きく軽減できます。「収入がないのに高すぎる」と感じたら、まずは減免申請を検討すること。それが家計を守る第一歩となるでしょう。
出典
さいたま市 国民健康保険の保険税を軽減・減免する制度について教えてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー