冬の朝「フロントガラスに熱湯」で、修理代“10万円超”の請求が! 凍結を溶かしたかったのですが、「車両保険」で修理できるでしょうか? 等級は下がってしまいますか?
しかし、ガラスは急な熱変化に弱く、凍結が起きるほど寒い朝に熱湯をかけると熱膨張によってフロントガラスが割れてしまう恐れがあります。
フロントガラスの交換ともなると、費用が10万円を超えることも珍しくなく、その負担は決して小さくないため、保険を使って直そうと考える人もいるかもしれません。
とはいえ、熱湯をかけてフロントガラスを割ってしまった場合、自動車保険を使えるのでしょうか。本記事では、フロントガラス破損時の保険適用の可否と、保険利用における損益分岐点の見極め方を解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
お湯によるフロントガラスの破損は車両保険の対象
フロントガラスの破損は、車両保険の補償対象となる可能性が高いでしょう。多くの損害保険会社が、自動車保険の対象の一例に窓ガラスの破損を挙げています。
また、車両保険には自損事故なども補償範囲に含む一般型(フルサポート)と、主に偶発的な車の損害に補償を限定した限定型(エコノミー型)がありますが、窓ガラスの破損はどちらも対象となっているケースが多いようです。
筆者の友人の整備士に話を聞いたところ、「窓ガラスの修理は飛び石によるものがほとんどだが、熱湯をかけて割った場合でも使えることが多い」との回答を得ています。
もちろん、全ての保険会社が補償してくれるとは限らないことに注意が必要です。フロントガラスの破損は、飛来物(飛び石など)が原因のものに限るといった具合に、補償範囲が限定されている場合があるかもしれません。
また、一般的に故意や重大な過失による事故の場合は、補償対象外となります。保険会社の判断により熱湯をかける行為が重過失とみなされた場合は、補償対象外となる可能性もあるでしょう。
まずは、保険会社へ事故状況を正確に伝え、補償の可否を確認することが必須です。
修理代10万円なら保険は使うべき? 免責と等級ダウンで損得を判断
熱湯をかけて破損したフロントガラスの修理が補償の対象であっても、保険を使うかどうかは別途判断が必要です。判断基準は、免責金額と等級ダウンの2点に集約されます。
免責金額とは、修理費用のうち保険が利かない自己負担部分のことです。例えば、免責が5万円の契約で11万円の修理をした場合、免責部分を除いた6万円のみが保険金として支払われます。したがって、修理前に免責金額を確認する必要があります。
加えて、保険を使うと保険料の計算の根拠となる等級がダウンするため、翌年以降の保険料が上がってしまいます。
等級ダウンには1等級ダウンと3等級ダウンの2種類あり、どちらが適用されるかは非常に重要です。というのも、3等級ダウン事故として扱われると、3等級下がる上に3年間事故あり等級として保険料が計算されることになります。
例えば、同じ10等級でも事故なしの場合は46%割引なのに対し、事故あり等級になると19%しか割引されません(数字はソニー損保公式Webサイトより抜粋)。
事故あり等級の適用が1年で終わる1等級ダウン事故とは、影響の度合いが違います。アクサ損害保険が公表しているデータによると、コンパクトカーに乗る10等級の30代女性の場合、翌年からの5年間の保険料が次の通り変わってくるとのことです。
・無事故の場合:30万1680円
・1等級ダウン事故を起こした場合:33万6150円(3万4470円アップ)
・3等級ダウン事故を起こした場合:39万2800円(9万1120円アップ)
このケースかつ、免責金額が5万円の場合、1等級ダウンとして扱われ保険を使った場合の実質的な負担は8万4470円、3等級ダウンとして扱われた場合は14万1120円となるわけです。
もちろん、翌年以降の保険料がどれくらい変わるかは契約によって異なるため、保険会社に問い合わせて別途シミュレーションしてもらうと良いでしょう。その上で免責金額と保険料の増加見込み額の合計が修理代より大きいか小さいかで、保険の使用を決めることが大切です。
まとめ
熱湯をかけて車の窓ガラスを割ってしまった場合、車両保険に加入していれば、多くのケースで保険が使えるでしょう。とはいえ、契約の内容や保険会社の判断によって変わってくるため、個別に確認することが大切です。
また、免責の有無と金額、等級ダウンとそれによる翌年以降の保険料の見込みによって、保険を使ったほうが良いかは変わってきます。必ず保険を使う前に確認しましょう。
そもそも、フロントガラスに熱湯をかけるのは危険な行為です。エンジンをかけて窓ガラスを温めて溶かす余裕を持って準備をする、市販の解氷スプレーを使うなど適切な対処を心がけましょう。
出典
ソニー損害保険株式会社 等級制度の基礎知識
アクサ損害保険株式会社 自動車保険の保険料の具体例
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士