個人年金制度には入っておくべき? メリットとデメリットを教えて!
本記事では、個人年金制度のメリット・デメリットや老後の備えとして有効なのかを解説します。
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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公的年金の現実を数字で見る
厚生労働省が2024年11月に発表した「多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について」のモデル年金(会社員とその被扶養配偶者)によると、老後の年金受給額は月約23万円(国民年金+厚生年金)となっています。
一方で、総務省の家計調査2024年(令和6年)によれば、65歳以上で夫婦のみの無職世帯の平均支出は月約26万円となっています。つまり、毎月約3万円が不足する計算になります。
また、厚生労働省の令和6年簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳となっています。65歳から20年超の老後を考えると、不足額は700万円以上になる可能性があります。
個人年金制度とは?
個人年金制度とは、国が運営する公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして、個人の意思で任意に加入し、老後の資金準備を行う私的年金制度のことです。代表的なものに、民間の保険会社が提供する「個人年金保険」があります。また、国の制度である「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も個人年金の一つです。
個人年金保険は、年金を受け取る期間によって3つの種類に分けられます(図表1)。
図表1
| 年金の受取期間 | 特徴 |
|---|---|
| 確定年金 | 生死にかかわらず、あらかじめ決めた期間に必ず受け取れる |
| 終身年金 | 生きているかぎり、一生涯受け取り続けられる |
| 有期年金 | 生存している間、あらかじめ決めた期間に受け取れる |
筆者作成
個人年金制度のメリット
以下に、個人年金制度のメリットを挙げてみます。
■強制的に貯められる
「余ったら貯金しよう」と思っても、なかなか続きません。個人年金は自動引き落としなので、貯蓄が苦手な人には強い味方です。
■税制優遇がある
一定の要件を満たす個人年金保険料は、生命保険料控除(個人年金保険料控除)の対象となっています。支払った金額の一部が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。
■老後資金を使い込まない
年金形式で受け取るため、「老後資金を一気に使ってしまう」というリスクを抑えられます。
個人年金制度のデメリット
次に、個人年金制度のデメリットを挙げてみます。
■インフレに弱い
個人年金保険には、「定額タイプ」と「変額タイプ」があります。
・定額タイプ:将来受け取れる年金額が加入時にほぼ決まっている保険
・変額タイプ:払い込んだ保険料で主に投資信託などで運用を行う保険
特に、円建て個人年金保険の定額タイプは、インフレに弱い傾向があります。インフレのスピードが早ければ、将来受け取る年金の実質的価値は目減りする可能性が高くなります。
なお、変額タイプは運用により大きく資産価値が増える可能性があるので、インフレもカバーできる可能性があります。一方で、価格変動リスクがあるため、将来受け取れる年金額が決まっていません。運用がうまくいかなかった場合は、元本割れを起こす可能性もあります。
■解約返戻金が支払った保険料総額を下回る可能性がある
途中解約すると、払った保険料総額より解約返戻金が少なくなる可能性が高くなります。特に加入から早い段階で解約すると、解約控除の影響もあり、解約返戻金がごくわずかとなる場合があります。解約控除は、商品によって異なりますが、一般的には契約から10年以内に解約すると発生する解約手数料のことです。
■資金の自由度が低い
「教育費に回したい」「住宅購入に使いたい」と思っても、簡単には引き出せません。
個人年金制度の利用が向いている人
個人年金制度は、「老後資金の土台」としては有効な制度といえますが、「資産を増やす」という目的としては弱いという位置づけです。そのため、個人年金制度は以下のような人に向いている制度といえるでしょう。
・貯金が苦手
・老後資金を確実に確保したい
・多少の利回りより安心感を重視
一方で、「資産を増やしたい」人はiDeCoやNISA、「柔軟に使えるお金を確保したい」人は引き出し制限の少ないNISAを優先して考えたほうがよいでしょう。
まとめ
20代、30代といった若い世代にとって、最大の武器は「時間」です。月1万円でも、30年間積み立てれば元本360万円となり、運用次第では実際の資産はもっと増えます。
個人年金制度をそれ単体で考えるのではなく、将来のライフプランを考えながら、iDeCoやNISAといった資産形成のための他の仕組みとどう組み合わせるのかが重要です。老後が不安だからこそ、早い段階で「資産形成の仕組み」を作っておくことが、将来の安心につながるでしょう。
出典
厚生労働省 第19回社会保障審議会年金部会 資料2 多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について
総務省 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要
厚生労働省 令和6年簡易生命表の概況
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)