在宅勤務が減って通勤手当が「月2万円」復活。でも同僚に「手取りは増えないよ」と言われました。社会保険料はどれくらい上がる?
一見すると「手取りが増えそう」と感じますが、同僚から「手取りは増えないよ」と言われて不安になる人もいるでしょう。通勤手当は所得税の扱い(非課税枠)が注目されがちですが、社会保険料の計算では別の論点があります。
本記事では、通勤手当が社会保険料の算定にどう関わるのかを整理したうえで、通勤手当が月2万円復活した場合に、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険の保険料がどの程度増え得るのかを試算します。
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通勤手当は社会保険料の計算に含まれる
毎月の健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、「標準報酬月額」に保険料率を掛けて計算されます。
この標準報酬月額は、基本給だけでなく、残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与(報酬)を一定の幅で区分し、等級として決定する仕組みです。通勤手当がこの「報酬」に含まれることは、日本年金機構の説明でも明示されています。
また、雇用保険料についても、厚生労働省の資料で、保険料の対象となる賃金は「税金や社会保険料等を控除する前の総賃金額」とされており、通勤手当も含まれる扱いです。
このように、通勤手当は、税法上は一定限度額まで非課税でも、社会保険料の算定上は報酬・賃金として扱われる点が重要なポイントです。
通勤手当が増えても、必ず社会保険料が上がるとは限らない
通勤手当が復活したからといって、必ず社会保険料が増えるわけではありません。健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料は、実際の支給額そのものではなく、標準報酬月額の等級で決まるためです。具体的には、
・通勤手当が増えても等級が変わらなければ、原則として保険料は変わらない
・通勤手当の復活により等級が1つ上がれば、保険料が段階的に増える
という整理になります。等級がいつ改定されるかは、定時決定や随時改定など、賃金の変動状況や会社の手続きによって決まります。
【試算】40代会社員で標準報酬月額が1等級上がった場合、どれくらい増え得るか
ここでは、40代(介護保険料の負担あり)の会社員を想定し、標準報酬月額が1等級上がった場合の影響を確認します。
例として、標準報酬月額が30万円から32万円に上がったケースを想定します。保険料額は、全国健康保険協会「令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」を前提とします。
上記より、月2万円分の等級上昇による本人負担の増加額は、
・健康保険料+介護保険料:1150円/月
・厚生年金保険料:1830円/月
合計で、月2980円程度の増加が見込まれます。
さらに、雇用保険料は等級ではなく賃金に直接保険料率を掛けて計算されます。厚生労働省の資料によれば、令和7年度における一般の事業の労働者負担率は0.55%のため、通勤手当が月2万円増えると、110円/月の負担増となります。
以上から、通勤手当が月2万円復活し、標準報酬月額が1等級上がった場合、社会保険料は3000円程度上がる可能性があります。
まとめ
通勤手当は、健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料算定に用いる標準報酬月額の報酬に含まれ、雇用保険料の対象となる賃金にも含まれます。そのため、在宅勤務が減って通勤手当が月2万円復活した場合、標準報酬月額の等級が上がると、今回の試算では月3000円前後の社会保険料負担が増える可能性があります。
一方で、通勤手当が増えても等級が変わらなければ、健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料は原則として変わりません。
実際の影響を確認するには、給与明細に記載されている標準報酬月額や、保険料が改定される月を確認することが重要です。不明な点がある場合は、勤務先の人事・給与担当や、年金事務所・加入している健康保険などの公的窓口で確認すると整理しやすいでしょう。
出典
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
厚生労働省 雇用保険料の対象となる賃金
厚生労働省 事業主・被保険者の皆さまへ 令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
全国健康保険協会
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー