入院費「50万円」に“高額療養費”を申請。年収500万円だから「自己負担は8万円まで」と思ってたのに、戻ってきたのは“16万円”だけでショック! 意外な「対象外ルール」とは

配信日: 2026.01.26
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入院費「50万円」に“高額療養費”を申請。年収500万円だから「自己負担は8万円まで」と思ってたのに、戻ってきたのは“16万円”だけでショック! 意外な「対象外ルール」とは
病気やけがで入院した際、頼りになるのが「高額療養費制度」です。「医療費が高額になっても、あとからお金が戻ってくるから大丈夫」と考え、民間の医療保険には加入していないという人もいるかもしれません。
 
しかし、いざ入院して窓口で50万円を支払い、あとで申請しても、期待したほどの金額が戻ってこないケースがあります。実は、病院への支払額すべてが制度の対象になるわけではないからです。
 
本記事では、年収500万円の会社員を例に、高額療養費制度の落とし穴となる「対象外費用」について解説します。
高橋祐太

2級ファイナンシャルプランナー技能士

高額療養費制度の基本と「年収500万円」の上限額

高額療養費制度とは、1ヶ月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じた「自己負担限度額」を超えた場合、その超過分が払い戻される仕組みです。
 
では、年収500万円の会社員(70歳未満)の場合、自己負担額の上限はいくらになるのでしょうか。この年収層は、図表1の所得区分「ウ(年収約370~約770万円)」に該当し、計算式は以下のようになります。
 
図表1


厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
 
【自己負担限度額(区分ウ)】 8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%
 
例えば、入院して総医療費(10割)が100万円かかったとします。窓口での支払いは3割負担の「30万円」です。この場合、上記計算式に当てはめると自己負担限度額は「8万7430円」となります。
 
つまり、窓口で払った30万円のうち、上限を超えた「21万2570円」が後日戻ってくる計算です。実質負担は約9万円で済むことになります。これだけを見れば、「やはり医療保険は不要で、貯金でまかなえる」と感じるかもしれません。しかし、ここには重要な注意点があります。
 

50万円払っても「少ししか戻らない」カラクリ

問題は、病院の窓口で支払うお金には「高額療養費の対象にならない費用」が含まれていることです。具体的なケースで見てみましょう。
 
【シミュレーション:Aさん(年収500万円)の入院費用】
Aさんは手術のため10日間入院しました。個室を希望し、退院時に窓口で合計「50万円」を支払いました。後日、高額療養費でお金がたくさん戻ると思っていましたが、実際には計算が合いません。
 

窓口支払額50万円の内訳


(1)治療費(保険適用分):25万円(総医療費 約83万円の3割負担)
(2)差額ベッド代(全額自己負担):20万円(1日2万円×10日)
(3)食事代(全額自己負担):1万4700円(1食490円×30食)
(4)日用品・雑費(全額自己負担):3万5300円

このうち、高額療養費の計算対象になるのは(1)の治療費のみです。(2)~(4)の合計25万円は、制度とは無関係の「完全な自己負担」となります。
 

実際の払い戻し額

(1)の治療費25万円に対して高額療養費を計算すると、自己負担限度額は約8万5700円です。そのため、戻ってくるお金は「25万円-約8万5700円=約16万4300円」となります。
 

最終的な実質負担額

窓口で払った50万円に対し、戻ってくるのは約16万円だけです。差し引き約34万円が、Aさんの財布から消えたことになります。「自己負担は9万円くらいで済む」と思っていたAさんにとって、この差額は大きな誤算でしょう。
 
特に、1人部屋で平均1日8000円超の「差額ベッド代」や、1食490円の「食事代」は大きな負担でしょう。これらは全額自己負担のため、入院が長引くほど支払い総額は膨らみます。
 

医療保険は本当に不要? 備えるべき金額の目安

こうした「制度対象外の費用」を踏まえると、医療保険は不要と言い切れるでしょうか。もし、以下の条件に当てはまる場合は、保険での備えを検討する余地があります。
 
貯蓄に余裕がない人:急に30万~50万円の出費があると生活が破綻する恐れがある場合は、入院一時金や日額給付のある医療保険に入っておくと安心です。
 
療養環境を重視したい人:「入院中は大部屋ではなく個室でゆっくり休みたい」と考える場合、差額ベッド代をカバーするための保険加入は合理的です。
 
逆に、生活防衛資金として数百万円の貯蓄があり、かつ「大部屋で構わない」という人であれば、高額療養費制度だけで十分対応できる可能性が高いでしょう。
 

まとめ

高額療養費制度は非常に強力なセーフティーネットですが、入院にかかるすべての費用をカバーしてくれるわけではありません。差額ベッド代や食事代は全額自己負担となり、想定外の出費につながりやすいポイントです。
 
「制度があるから大丈夫」と過信せず、万一の入院時に個室等の自分が希望する環境と、それに耐えうる貯蓄があるかを確認し、必要であれば医療保険で補うことを検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
厚生労働省 主な選定療養に係る報告状況
厚生労働省 入院時の食費の基準の見直し
 
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士

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